株式会社ケリングジャパンは2月6日、スタートアップ成長支援を行うCIC Instituteの支援の下、2025年3月13日に第1回「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」の授賞式を開催することを発表した。本アワードプログラムは、ファッションとビューティ業界において環境や社会にポジティブな影響を与えるイノベーションを発掘・育成することを目的としている。
ケリングジャパンはサステナビリティ戦略として「Crafting Tomorrow’s Luxury(未来のラグジュアリーを創造する)」を掲げている。代替原材料、サプライチェーンのグリーン化、リテールと使用、サーキュラーエコノミーといった分野で課題に取り組む企業を支援することを目的に、2018年に「ケリング・ジェネレーション・アワード」を中国で発足。その後プログラムは、中国に加えて、日本、サウジアラビア、またジュエリー業界へと展開され、2024年に「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」が開始された。
本プログラムでは、「代替原材料・素材」「製造工程とリテール」「消費者エンゲージメント」というサブテーマごとに募集を実施。120社を超える国内のスタートアップ企業および研究者から応募があった。書類審査と2回のピッチイベントを経て、選ばれた上位3社が授賞式で発表される。
第1回「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」の上位11社として選出された企業(同社プレスリリースより)
グループA:代替原材料・素材 / 製造工程
株式会社アルガルバイオ https://algalbio.co.jp/
アルガルバイオは、多種多様な藻類を保有し、その実用化を一気通貫で手がける研究開発型バイオベンチャー。藻類は森林・農地・食物生産に影響を及ぼさず培養でき、面積当たりのCO2固定能に優れた、サステナブルな原料だ。藻類は光合成でCO2を固定し、アンチエイジング、UV吸収、保湿などに役立つさまざまな機能性成分と天然色素を含有する。エシカルで持続可能な代替原料として技術開発を進めており、ビューティ、ファッションの分野での活用が期待される。
AMPHIBIO LTD (Trading as AMPHICO) https://www.amphico.uk/
AMPHIBIO LTD(通称AMPHICO)は英国と日本に拠点を持つ材料系スタートアップであり、アパレル産業に起因の環境問題解決のため様々な材料ソリューションを開発。特に、アメリカと欧州における有害化合物PFASの規制を背景に、従来PFASが多用されていたアウトドアアパレル向けの機能性透湿防水テキスタイルをPFASフリーで実現する技術や、水汚染などの環境汚染を大幅に削減する無水着色技術を開発している。
Synflux株式会社 https://synflux.io/
Synfluxは、人工知能や3Dシミュレーション、アルゴリズミックデザインを活用し、持続可能なファッションの実現を目指し活動するデザイン・スタートアップ。独自のデザインエンジン「AlgorithmicCouture」の応用を通して、環境配慮を重視するアパレル・ファッションブランドとのアライアンス事業を推進している。製造プロセスのデジタル化により、衣服の型紙設計工程で出てしまう布の廃棄を最小化し、CO2と材料コストの削減を達成することができる。
FiberCraze株式会社 https://www.fibercraze.com/ja
「ミクロな技術で、人類と地球のミライを織りなす」をビジョンとし、岐阜大学の基礎研究から生まれた繊維・フィルム素材の多孔化技術を使った高機能性素材を開発しています。世界の社会課題に対し、目に見えないナノテクノロジーを駆使して解決していく。岐阜の地域を中心とした技術力を集結させて新たな価値を創造し、生活や産業の発展を担うインフラとなる素材の確立を目指す。
株式会社ファーメンステーション https://fermenstation.co.jp/
独自の発酵技術を有し、未利用資源を機能性のある素材や製品にする事業に取り組み、サーキュラーエコノミーの実現を目指すバイオテクノロジースタートアップ。規格外の農産物や飲料・食品工場で排出される製造残さ等の未利用バイオマスを、各種フレーバー、高機能化粧品素材などへ転換する共同開発や自社工場での製造事業を展開する。2022年よりB Corp認証を受ける。
マイクロバイオファクトリー株式会社 https://microbiofactory.co.jp/
化学品製造の脱化石資源化を目指し、バイオマス由来の原料を活用した微生物発酵での化学品生産に取り組むスタートアップ。現在複数の開発パイプライン化合物を有しており、サステナブルな化学品製造の事業化を目指す。
グループB:リテール / 消費者エンゲージメント
株式会社ARCHIVESTOCK https://archive-stock.com/
「文化的価値の高いファッションアイテムの保全と継承」をミッションに、ファッションアイテムを記録・保存・売買できるリセールプラットフォーム「ARCHIVESTOCK」を開発、運営。パーソナル機能やAI技術を駆使し、リユースファッションを通じた環境的・経済的な世界的コミュニティを創出する挑戦を行う。
株式会社comvey https://comvey.jp/
「美しい物流をつくる」をビジョンに、EC事業者向けに繰り返し使える梱包「シェアバッグ®︎」、およびそれらを運用するためのオペレーションシステムを開発・展開。
株式会社STANDING OVATION https://www.s-ovation.jp
「クローゼットを持ち歩く、循環型のファッション体験を創る」ビジョン実現を目指し ① AIスタイリストが「持っている服」からコーデを提案してくれるオンライン・クローゼットのBtoCアプリ「XZ(クローゼット)」② お客様の「持っている服」と「商品」の相性を確認でき、サステナブルな買い物体験をOMOで提供するBtoBサービス「XZ-biz(クローゼットビズ)」を開発・運営する。
株式会社Spacewasp https://spacewasp.net/
様々な産業から排出される植物廃棄物から植物由来の内装空間(内装、家具、建材)を製造・販売。作れる人がいない内装業界において、自動で空間を作れる仕組みと、何度も作り変えられる循環型内装で、未来の内装インフラを創出し、ホテル・オフィス・店舗等の内装を必要とする事業者に内装空間を提供する。
株式会社モーンガータ https://man-gata.com/
大手化粧品企業16社と協業し、化粧品の中身をアップサイクルするスタートアップ。B to B(素材開発・企画運営・IPビジネス)だけでなく、B to C(プロダクト開発)も手掛ける。弊社のみが保持する余剰化粧品資源と自社特許技術を駆使し、化粧品中身から多岐に渡る工業素材を開発。現在、物流効率化とトレーサビリティ提供や認証サポートのためのシステム開発なども手掛け、化粧品業界全体の再生利用スキームのハブとなっている。
本授賞式には、ケリング会長兼CEO、フランソワ=アンリ・ピノー氏と、バイオスタートアップのSpiber株式会社代表執行役、関山和秀氏による対談も予定されている。また、審査員として環境・ファッション・投資分野の専門家らが参加し、アドバイザリーボードには業界関係者や研究者が名を連ねている。
受賞者にはメンターシップやネットワーキング機会、ヨーロッパでの研修プログラムなどの特典が提供され、最優秀企業には1,000万円の賞金が授与される。
【プレスリリース】第1回「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」2025年3月13日(木)に授賞式開催が決定
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(※画像の出典:株式会社ケリングジャパン)
