ライオン株式会社は10月21日、高度なプラスチック資源循環型社会の実現に向けた取り組みとして、リサイクル性に配慮したつめかえパック「ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り つめかえ用大サイズ」を11月から数量限定で発売することを発表した。この取り組みは、日用品の包装に多く用いられる複合素材がリサイクルを難しくしているという課題に応えるためのものだという。同社は、artienceグループの東洋インキ株式会社と「剥離リサイクル技術」を共同開発。本技術を活かし、日用品の包装容器などに用いられている複合素材を分離し、高純度な単一素材として回収可能にすることで、プラスチックリサイクルの促進を目指す。

ライオンは、2019年に策定した「LION Eco Challenge 2050」に基づき、プラスチック使用量の削減と再利用の促進に取り組んでいる。つめかえ製品は製品全体の出荷量の約8割を占め、年間約35万トンのプラスチック削減に貢献しているものの、多くのつめかえパックは複数の素材から成り立っており、容器としてリサイクルすることが難しく、多くがごみとして廃棄されてしまっている。

こうした状況を改善するため、ライオンと東洋インキは「剥離リサイクル技術」を共同開発。複数の素材フィルムを水中でのアルカリ処理を用いて剥離し、印刷用インキを除去することにより高純度な単一材質としての回収を可能にするという。この技術により、使用済つめかえパックの素材が高純度で回収でき、リサイクルの促進につながると期待される。

今後の展望として、ライオンは新技術を用いたつめかえパックのリサイクルを実証し、2025年中の製品化を計画している。また、業界を超えた包装容器設計ガイドラインの策定にも取り組むことで、つめかえパックリサイクルの社会実装を進める意向を示す。さらに、分別システムの確立や啓発活動を通じて、リサイクルに対する生活者の理解と協力を得る活動にも力を入れていく考えだ。

※冒頭の写真の出典はライオン株式会社。

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