株式会社萬年は1月17日、「電子機器および家電製品の消費に関する調査」結果を発表した。同調査は2024年12月13日に日本全国の10代から70代までの男女100名を対象に、インターネット調査として実施された。調査は電子ゴミ削減を目的とし、電子機器や家電製品の修理に対する生活者意識を分析するものだ。
国連の報告によると、2022年時点で、世界で排出された電子ゴミは約620億kgにのぼり、リサイクル率は25%未満にとどまる。こうした状況を受け、欧米では「修理する権利」や修理可能指数表示の義務化などの政策が進んでいる。一方、日本では生活者からの修理ニーズが存在しながらも、法規制などの影響で対応が遅れているのが現状だ。
調査結果によると、デジタルデバイス購入時に「修理のしやすさ」を重視する生活者は全体の13%にとどまった。年代別では、「修理のしやすさ」への関心は10代が0%と最も低く、価格や機能を優先する傾向が強い。エアコン、洗濯機、冷蔵庫、テレビなど高価格帯の家電製品では、小型家電と比べて耐久性や機能性が重視される一方、修理のしやすさを考慮する割合は14%にとどまった。
また、製品が故障した際に「修理したい」と答えたのは約65%だったが、実際に修理を実現できたのはそのうちの約59%にとどまった。特に60代以上では修理率が低く、細かな作業を行う身体的なハードルや情報の障壁が影響している可能性が示唆された。
また、全体の41%を占めた「修理したくない」が選ばれた理由として、「新しい製品を安価に購入できるから」が最多で、市場の低価格化が修理意欲を減退させていることがうかがえた。次いで、「修理できると思わなかった」「修理する道具を持っていない」「修理するのは危険」といった理由がそれぞれ15%前後を占め、心理的、物理的障害も存在することが調査で明らかとなった。
株式会社萬年は、電子デバイスのリユースやリサイクルを事業とする企業であり、サーキュラーエコノミーを推進している。今回の調査から、生活者の修理に対する意欲を高め、修理をしやすい環境を作る必要性が浮き彫りとなった。そのためには、メーカーや回収業者などが製品の修理しやすさに関する情報提供を行い、生活者が製品購入時に「修理のしやすさ」を考慮できるように促すことが重要だと、同社は提言する。
【プレスリリース】【2024年実施】電子機器および家電製品の「修理」に関する調査
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