ニュージーランド政府はこのほど、リサイクルインフラに1億2400万ドル(約85億円)の投資を行うことを発表した。廃棄物削減と雇用創出を目的として、政府が創設した新型コロナウイルス復興基金と廃棄物最小化基金から賄われる。
ニュージーランドは、一人当たりのごみ排出量が最も高い国のひとつだ。過去10年間で埋立地での廃棄物処理は48%増加しており、埋め立てられるものはリサイクルや堆肥化、再利用できるものが多い。そこで政府は以下の2つを柱として、大規模かつ早急な対策を実施することを発表した。
1.リサイクルインフラに1億2400万ドルの投資
プラスチックのリサイクルおよび再処理工場、廃棄物のデータ収集をする優れた計量器、原材料およびコミュニティ資源回収工場の改修に投資が行われる。また、一般廃棄物と産業廃棄物の混合を処理する革新的な施設をオークランドに開設する。これにあたり、政府は310万ドル(約2億1000万円)を拠出した。さらに、全国7つのハイテクリサイクル工場の機能を向上させる。現在ニュージーランドの多くのリサイクルシステムでは、手作業で材料を分別しているが、この作業は作業員にとって快適であるとはいえない。そこで、選別が困難なプラスチックの材質を判断して迅速に選別できる最先端の光学式選別機を使うことで、安全な職場環境をつくることを推進する。
なお、雇用面への影響も大きい。例えば電子廃棄物において、埋め立て処理では年間50人の雇用ができることに対して、リサイクルでは200名、再利用では6400名の雇用創出ができるという試算もあるという。
2. 廃棄物税を増税して、資源回収と廃棄物削減を促進
現在、家庭廃棄物を埋め立てる際に1トンあたり10ドルの税金がかかるが、これを4年間で1トンあたり60ドルに徐々に引き上げる。増税開始日は2021年7月1日を予定しているが、実施にあたってはその時の経済状況が考慮される。増税により、国民に廃棄物のコストを認識してもらい、原材料の再利用とリサイクルを促すことを目的とする。ただし、家計への影響は、各自治体の決定によるが、週あたりのごみ袋の値上げ25セント程度にとどまるとみている。
環境副大臣のユージニー・セージ氏は、「世界的には、従来の廃棄物回収や埋立処分よりも、資源回収の方がより多くの仕事と熟練した仕事をもたらすと認識されている。廃棄物最小化と資源回収インフラへの投資の増加により、ニュージーランド全体で何百もの恒久的な雇用と収入が生み出される見込みです」と述べている。さらに、ニュージーランド国内でのリサイクル率が増加するため、廃棄物によって生じるCO2排出量を削減できるとして、確実に同施策を遂行していく構えだ。
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