陶磁器メーカーのニッコー株式会社はこのほど、ボーンチャイナを肥料にリサイクルする技術を確立し、農林水産省より肥料として認定された。これまで欠けや割れで産業廃棄物として廃棄しなくてはならなかった食器を肥料として活用し、国内で循環させることで、サステナブルな食料生産につながるとしている。
ニッコー株式会社が提供するボーンチャイナ製食器(NIKKO FINE BONE CHINA)は、陶磁器の原料である石や粘土のほかに、(食肉加工され残った牛の骨を溶解再合成した)リン酸三カルシウムを約50%含んでいる。このNIKKO FINE BONE CHINAをリサイクルして製造した肥料が「BONEARTH(ボナース)」だ。
BONEARTHの3つの価値として、ニッコー株式会社は以下を発表した。
- 機能的価値:安全で効果が持続しやすく、花や実を育てるのに特に効果的。高温焼成で作られているため、臭いもなく、長期保存でき安全・清潔なリン酸肥料である
- サステナビリティ価値:廃棄・埋め立てに伴う環境負荷・CO2削減、リンの輸入・輸送に伴う環境負荷・CO2削減、既存肥料と比較して環境流出がないことによる環境負荷削減。水に溶けないことから、長期間肥料効果が持続し、河川流出もしにくい
- 情緒的価値:見た目も美しく、園芸用品の化粧砂としても活用可能
BONEARTHの肥料効果については、石川県立大学との共同研究にて実証した。現在も、二回目の共同研究を実施している。
今後の予定は、次のとおり。生産過程で生じる規格外品からBONEARTHを製造し、2022年4月2日に販売を開始する。その後、ホテル・レストランで使用された自社品(サブスクを含む)を回収し、最終的には他社品を含め広く回収してBONEARTH以外のリサイクル商品の製造・販売を実施し、食器の循環促進を目指す。
ニッコー株式会社は、食器由来の肥料を生産者に還元し、肥料を使用して育てた作物がレストランに届き、再び同社の食器の上に盛られた料理が生活者に提供されるという循環をさまざまなパートナーと作りあげていきたいとしている。現在、食器の循環モデル導入を検討しているレストラン・農家・パートナーを募集中。サプライチェーン全体で循環型陶磁器への移行を目指すニッコー株式会社の今回の取り組みが、食器のクローズドループ実現に向けて大きく貢献していくことが期待される。
BONEARTH
- 用途:樹木、草花、野菜など(元肥)
- 価格:1,320円(税込)/800g、715円(税込)/300g
- 販売開始時期:2022年4月2日
- 販売場所:(EC)ニッコー公式オンラインショップ、(店舗)LOST AND FOUND TOKYO STORE
- 肥料登録番号:生第107121号(農林水産省)※国際特許出願中
- 保証成分量:「ク溶性リン酸」15.5%/「ク溶性石灰」18.0%、「N-P-K-Ca」0-15.5-0-18.0
- 効果、使用方法について:BONEARTH 特設WEBサイト
【プレスリリース】世界初!洋食器のニッコー、捨てられる食器をリサイクルした肥料「BONEARTH®」を商品化
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*記事中の画像の出典:ニッコー株式会社