サトーホールディングス株式会社(以下、サトー)と株式会社ナカダイホールディングス(以下、ナカダイ)は 11月27日、廃棄物の回収から再資源化までを可視化するトレーサビリティーシステムの構築と実用化に向けた実証実験(PoC)の成果を発表した。両社は2023年に協業を開始。2024年8月にナカダイのリサイクル工場で本実証実験を行い、廃棄物処理工程をデジタル化し、データ蓄積とトレースが可能な仕組みを構築することに成功したという。
このトレーサビリティーシステムは、廃棄物の回収から再生材の生産まで一連の工程をリアルタイムで記録・可視化するもの。廃棄物を管理する容器にIDを付与し、各処理工程をデジタル化することで、処理状況の正確なデータ取得を可能とする。具体的には、コンテナ単位で内容物、保管場所、重量、工程チェックを管理するほか、入荷、移動、解体、出荷までの流れをデータとして記録する仕組みである。両社は、この技術により、各工程の効率改善や再生材の品質管理向上に貢献するとしている。
協業の背景には、国産資源の循環における課題がある。使用後の製品を廃棄物とせず資源として循環させるためには、安定した再生材の生産が求められるが、トレーサビリティーの不足がこれを妨げる要因となっていた。この課題に対し、両社はデジタル技術を活用したソリューションを提供することで、信頼性のある再生材の供給を目指している。
2023年には、両社はAIを活用した廃棄物回収のスマート化PoCを実施。廃棄物置き場に設置したカメラで画像解析を行い、廃棄物の集積状況を可視化した。今回のPoCでは、コンテナ設置から出荷までのデータを一貫して収集することで、リサイクル工程全体の効率化が可能になったという。
サトーは物流ラベルや自動認識技術に強みを持ち、さまざまな業界向けに効率化ソリューションを提供している。一方、ナカダイはリサイクル工場運営を中心に廃棄物処理から資源化までを手掛ける企業である。
今後は、トレーサビリティーシステムをナカダイのリサイクル工場で実運用を始めるほか、他のリサイクラー(再資源化事業者)やリサイクル工場への展開が進められる予定だ。
【プレスリリース】廃棄物の再生資源過程をデジタル化しデータ蓄積に成功
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