日産自動車株式会社と株式会社JVCケンウッドおよびフォーアールエナジー株式会社はこのほど、電気自動車(EV)「日産リーフ」の再生電池を利用して共同開発したポータブル電源の発売を開始した。

「リーフ」の車載電池は使用後も高い残存性能と安全性を持つことから、安心して再利用できるとともに、中古電池を再利用することで製造時のCO2発生を抑えられるとしている。

同製品の特徴について、3社は「車載可能」「長期間保管可能」「繰り返し充電可能」と発表。具体的には、「寒暖に強いため、-20℃~60℃の環境において車内で使用・保管できる」「自己放電が少なく長期保管できるため、災害時などの非常時用電源としても活用できる」「約2000回繰り返し充電でき、長期間使用できる」ことを挙げた。

今回の共同開発・販売における3社の役割は、以下のとおり。日産は、製品の企画立案および車載環境での使用のための知見と技術を提供。JVCケンウッドは製品化の実現と生産、フォーアールエナジーは「リーフ」の電池の二次利用に向けた開発と電池の供給である。なお、フォーアールエナジーは、日産自動車と住友商事株式会社が2010年に設立し、EV電池の再利用・再製品化・再販売・リサイクルに向けた技術とインフラの開発を進めている。

今後も、3社は電気自動車の再生電池の活用に取り組んでいきたい考えだ。日産自動車は、公式サイトにおいて「使用済みEV電池を再生し、再利用する事業を展開することでEV価格を引き下げること、手頃な価格で再利用電池を提供することで再生可能エネルギーの普及とCO2排出量削減に貢献すること」をビジョンとして紹介している。

世界の電池需要は急増しており、2030年までに電池需要は14倍となると予測されている。電池のライフサイクル全体を通じて環境および社会への影響を軽減するべく、電池や重要な原材料に関連する規制の整備がEUをはじめ世界で進められており、使用済みEV電池の再利用などに向けた企業の取り組みが活発化している。

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*冒頭の画像の出典:日産自動車株式会社、株式会社JVCケンウッド、フォーアールエナジー株式会社