株式会社NTTデータは、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステム「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」の提供を5月16日に開始した。電動車に搭載されるバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報(CFP情報)のうち、バッテリー製造時のCFP情報を関係企業間で集計・連携可能とする。欧州で2023年8月に施行された電池規則における、バッテリーのライフサイクル全体でのCO2排出量や資源リサイクル率の欧州委員会への開示にも対応する。

カーボンニュートラルや資源循環型社会への貢献策として、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体で各組織が保有するデータを安全かつ正確に流通できる仕組みが求められている。欧州の電池規則では、バッテリーのライフサイクル全体におけるCO2排出量や資源リサイクル率を欧州委員会に開示することが求められており、バッテリーを市場に出荷する際にCFPの開示が義務化される見込みだ。

経済産業省は2023年4月、国境や業界をまたぐ横断的なデータ連携基盤の構築に取り組む官民連携イニシアティブ「ウラノス・エコシステム」を提唱。NTTデータと株式会社NTTデータグループは、同エコシステムに関する公募事業に採択され、企業間の安全なデータ連携の実現に向けた技術開発を進めている。

新たなプラットフォームは、電動車向けバッテリーに関わる業界団体とともに要求分析、機能検証を進め、ウラノス・エコシステムのガイドラインに準拠した形で構築された。欧州電池規則のCFP情報連携機能を具備するほか、データ主権を確保しながら、機密情報を含むデータ流通を企業間で実現する点に特長がある。提供開始にあたり、欧州電池規則における製品単位のCFP宣言対応をファーストユースケースとし、まず、バッテリー製造時のCFP情報を連携可能とした。

今後は、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能や自由なデータ流通機能等を高度に融合させた共同利用型のサービスとして、データ主権を確保し機密情報を含むデータ流通を実現するとしている。

NTTデータは、今後5年間で500社以上の利用拡大を目指す。電動車向けバッテリーの関係企業にとどまらず、業界横断でのデータの連携を促進、サーキュラーエコノミーの実現を推進する。

【プレスリリース】産業データの安全な流通を実現する連携プラットフォームの提供開始
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(※画像の出典:株式会社NTTデータ)