オリックスグループとAGC株式会社は3月、集合住宅の改修工事などで発生する廃棄窓ガラスを、同種の建築用板ガラスとして再資源化する水平リサイクルのスキームを構築したと発表した。同社によると、このような取り組みは国内で初めて。ガラス端材(カレット)を再び板ガラスとして再利用することで、廃棄物削減と資源使用量の低減、温室効果ガス排出量の抑制に貢献する狙いだ。

今回のスキームでは、オリックス環境が廃ガラスの回収とサッシの分離を行い、TREガラスがカレットの精製と品質確認を担当、AGCが再生ガラスを原料とした新たな建築用板ガラスを製造する。オリックスは全体の構想設計とマネジメントを担う。

国内では年間50万トン以上の廃棄窓ガラスが発生しているが、これまでの処理方法は埋め立てや低品質な製品への転用(カスケードリサイクル)が中心だった。本スキームにより、バージン原料(珪砂やソーダ灰)の節減、原材料輸入率の低下が見込まれる。加えて、カレットは低温で溶解可能なため、製造工程でのGHG排出量削減効果も期待されている。1トンのカレット使用で1.2トンのバージン原料が節減され、0.5~0.7トンのGHG削減が見込まれるという。

今後は、本スキームのさらなるパートナー拡大と、太陽光パネルや自動車用窓ガラスなど建築用途以外への展開も検討される。水平リサイクルの運用体制を拡張することで、ガラス素材の資源循環と国内における資源自立の一助となることを目指す。

オリックスグループは環境エネルギーや事業投資など多角的な事業を展開しており、企業間連携による資源循環モデル構築にも注力している。AGCは板ガラスや電子材料、化学などの分野で事業展開する総合素材メーカーであり、今回のスキームもその技術力を活用し取り組んでいる。

【プレスリリース】オリックスグループとAGC、国内初 窓ガラスの水平リサイクル事業のスキームを構築
【関連記事】オリックス環境、使用済み太陽光パネルの国内販売・再利用を開始
【関連記事】諏訪から始まる、ガラスが地域で循環する未来。AGCが目指す、風土に根差したサーキュラーデザイン
【関連記事】セブン-イレブンとAGC、店舗設備向けガラス部材の資源循環に成功