環境省は4月15日、全国の都道府県に対し、通知「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について」を発出。すべての市町村で廃棄物としての回収を求めた。これは、リチウム蓄電池やリチウム蓄電池を搭載した製品(モバイルバッテリー、コードレス掃除機、電動工具等)による火災事故が全国で年間8,500件超と深刻化していることを受けたものである。
通知では、市町村における分別回収の徹底と火災リスク軽減のための技術的助言が示されている。具体的には、リチウム蓄電池を「標準的な分別収集区分」として位置づけ、市町村に対して収集方法の利便性向上や、誤投入による火災を防ぐための周知活動を求めている。
また、製造事業者による全国回収ルートがある場合の適切な案内も推奨されている。回収後の保管では、膨張・変形した電池の耐火容器での保管や電極の絶縁処理を基本とし、処理段階では、再資源化事業者や小型家電リサイクル法の認定事業者への引き渡しを促している。
さらに、火災事故の予防として、赤外線カメラによる早期火災検知や放水銃との連動システムの導入も奨励されており、設備導入には循環型社会形成推進交付金や火災復旧事業債の活用が案内されている。今回の通知は、廃棄物処理法や地方自治法に基づく市町村の責任を明確にしつつ、循環型社会の実現と災害リスク低減を同時に図る内容となっている。
環境省は、リチウム蓄電池の適正な処理を進めることで、廃棄物処理施設での火災事故を防ぎ、住民の安全を確保することを目指している。
【プレスリリース】市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について(通知)
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