埼玉県は5月9日、車載用リチウムイオン電池等を再資源化している太平洋セメント株式会社、松田産業株式会社と、狭山市、上尾市の県内2市と連携し、レアメタルの回収を目的とした実証試験を実施したと発表した。

スマートフォンやモバイルバッテリー、電子たばこといった小型家電の多くには、リチウムイオン電池等(充電式電池)が内蔵されている。充電式電池にはレアメタル(コバルトやニッケルなど)が含まれているが、その回収状況は十分ではない。資源として回収することができれば、新たに電池材料などに再利用できるとして、埼玉県は実証実験に着手。県内2市の協力を得て、家庭から出る使用済み充電式電池や充電式電池内蔵製品からブラックマスを資源として回収できるかを検証した。

ブラックマスとは、リチウムイオン電池等を熱処理した後に得られる粉体。ブラックマスを精錬することで、コバルト、ニッケル、リチウムなどのレアメタルを回収することが可能となる。

実施期間は2023年9月から2024年2月。埼玉県が全体のコーディネートと2市との調整を行い、太平洋セメントとグループ会社の敦賀セメント株式会社が熱処理(ブラックマスの回収の前処理)を、松田産業が運搬・保管とブラックマスの回収を行った。

実証実験では、狭山市や上尾市ですでに回収されていた使用済み小型家電の充電式電池や充電式電池内蔵製品を、松田産業による助言のもと電池の種類に応じて仕分けを行った。その後、仕分けされた電池や内蔵製品を太平洋セメントと松田産業で処理。ブラックマスを資源として回収することができたという。

実証実験を通し成果を確認できた一方、充電式電池等の仕分け作業にコストがかかること、また充電式電池等を一定量回収するための効率的な回収ルートの構築が必要であることがわかったという。

埼玉県では引き続き民間企業や市町村と連携し取組を進めていくとしている。

【プレスリリース】家庭から出る使用済みリチウムイオン電池からレアメタルを回収する実証試験を行いました ~民間企業・市町村と連携してサーキュラーエコノミーを推進~
【参照記事】埼玉県、サーキュラーエコノミー(循環経済)
【関連記事】サーキュラーエコノミー推進施策、地方自治体で拡大。愛知県蒲郡市と埼玉県で
【関連記事】自民党環境・温暖化対策調査会が政策提言「~循環経済を国家戦略に〜」を政府に提言
【関連記事】環境省、国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品と素材の最適化実証事業の公募結果を発表
(※画像の出典:埼玉県)