外出中でも遠隔カメラで在庫を確認できる冷蔵庫が増えている。食材を買う際にチェックすれば、買い忘れや重複買いを防げる。パナソニック株式会社が5月発売した「冷凍冷蔵庫 CVタイプ」は、「冷蔵庫AIカメラ」を搭載、野菜をAIが認識し食材管理をサポートしてくれる進化版だ。食材の使い切りをサポートし、フードロス削減にも貢献するとうたう。

冷凍冷蔵庫 CVタイプ(品番:NR-F53CV1/NR-E46CV1)は、パナソニックの「Live Pantry」アプリとの連携で、外出先から冷蔵室・野菜室・冷凍室の庫内画像を確認できる冷蔵庫。スマホで冷蔵庫の中身が一目でわかる。さらに、カメラ画像からAIが野菜を自動認識し、日持ち目安に応じて「先に消費した方が良い野菜」と、その野菜を使ったレシピを提案する。

冷蔵庫に新しく野菜を入れると、AIが入庫された野菜を確認、種類と登録日から利用期限目安を算出し、リストに反映。早く使った方が良いと判断された野菜を使ったレシピが推奨される仕組み。食材を新鮮なうちに使い切ることをサポートするだけでなく、毎日の献立の悩みも解決してくれそうだ。

また、野菜室のケース内を最適な湿度に保つ「モイスチャープラスフィルター」を採用しており、冷却を最適化した「Wシャキシャキ野菜室プラス」で野菜室のケース内を適切な湿度に保ち、野菜を約10日間、最適な鮮度で保存できるという。

AIが自動認識できるのは野菜室の在庫で、発売時に認識できる野菜は45種類。品目は今後アップデートされる予定で、野菜以外の食材を手動で追加することも可能。

同社は、AI・IoT機能と保鮮技術により「買い物や料理への負担を軽減し、豊かな食生活を提案するとともに、食材を無駄にせずフードロスの削減にも貢献していく」としている。

現在、食品ロス削減を目的に、複数のメーカーがAIなどの技術を搭載したスマート冷蔵庫の開発を進めている。例えば、三菱電機株式会社の冷蔵庫は、AIが家庭ごとの冷蔵庫の使い方を学習し、庫内の温度変化を予測し部屋別に管理することで省エネにつなげる。株式会社日立製作所も冷蔵庫にカメラを採用、撮影された庫内の様子を外出先からもスマホでチェックできる機能が付いている。株式会社東芝の冷蔵庫「GR-WFZS」は、AIによる省エネ運転サポート、庫内の食材管理、レシピ検索機能が実装されている。

消費者庁の調査によると、7割以上の人が未開封・未使用の食材・食品を捨ててしまった経験があり、家庭で捨ててしまいがちな食品は野菜類が最も多い。

国内の食品ロスについては、2022年度の発生量(推計)が472万トンであることが発表された。このうち食品関連の事業者から発生する量は236万トンで設定目標を達成したという。賞味期限の延長や納品期限の緩和といった工夫で「事業系」の廃棄が減った一方、「家庭系」は微減とみられる。メーカー各社の切磋琢磨が、家庭系の食品ロス軽減に繋がることが期待される。

【プレスリリース】AIカメラ搭載 冷凍冷蔵庫 CVタイプを発売
【参照記事】三菱冷蔵庫
【参照記事】日立の冷蔵庫
【参照記事】IoLIFE冷蔵庫編
【参照記事】令和4年度の事業系食品ロス量が削減目標を達成!(農水省)
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