豊田通商は7月18日、同社グループの株式会社プラニックが製造する再生プラスチックが、国内のトヨタ車で初めて「クラウン(スポーツ)」のフロントフェンダーシールに採用されたと発表した。この再生プラスチックは、これまでリサイクルが困難とされてきた使用済み自動車の破砕後に残る、金属以外のプラスチックやゴム、ガラスなどの混合物である「ASR(Automobile Shredder Residue:自動車破砕残さ)」に由来するものだ。

ASR由来のプラスチックは、様々な材質が混在しているため精密な選別が難しく、高い品質が求められる自動車部品への再利用は困難とされてきた。そのため、これまでは主に焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルに回されるのが一般的だった。

プラニックは、この課題を解決するため、欧州で実用化されていた高度な比重選別技術と設備を日本国内で初めて導入した。この技術により、混合プラスチックの中から特定の材質を高精度で選別し、高品質な再生プラスチックペレットを安定的に製造することが可能になった。

今回の採用は、使用済み自動車から回収した素材を再び新しい自動車の部品として利用する「Car to Carリサイクル」の国内における重要な一歩となる。プラニックは、豊田通商のグループ会社で自動車リサイクル事業を手がける豊田メタルをはじめ、日本全国のASR再資源化施設や家電リサイクルプラントから原料を調達している。豊田通商によると、豊田メタルは国内トップクラスの樹脂回収率を誇り、ASRリサイクル率は100%に近い水準を達成しているという。

豊田通商とプラニックは、今回のトヨタ車への採用を皮切りに、ASR由来プラスチックを活用したCar to Carリサイクルの推進を通じて、サーキュラーエコノミーの発展に貢献していく方針だ。

【プレスリリース】プラニックが製造するASR由来の再生プラスチックがトヨタ車に初採用
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(アイキャッチ画像はPR Timesより)