レコテック株式会社(以下、レコテック)とベトナムに本拠を置くJUNK&CO,Vietnam.ltdはこのほど、同じくベトナムに本拠を置くハノイ都市環境社(以下、URENCO)の支援のもと、PCR材活用に向けた資源循環プラットフォームによる資源回収実証事業を開始した。
ベトナムは廃棄物に関するさまざまな課題を抱えている。ベトナム天然資源環境省によると、ホーチミン市では2020年に廃棄物が2017年比で15%増加した。最終処分場施設の7〜8割はオープンダンピングで不衛生な状態になっているとともに、海洋プラスチックでは世界4位(※1)の流出国とされている。
こうした状況に対応すべく、拡大生産者責任(EPR)に関する政令が2022年2月1日から施行される。同政令により、製造業者は製品・梱包材を自らリサイクルするか、製品や梱包材のリサイクル支援のためにベトナム環境保護基金に資金を拠出するかを選択する必要がある。法令施行に向け廃棄物の回収・リサイクル・再利用までの工程を構築し、IoTを活用して見える化し現状把握する体制を構築することで、責任と費用配分を明らかにすることがベトナム政府およびURENCOに求められているとしている。これらを受け、3組織は以下のように実証を実施する。
実証期間
2021年9月~2021年12月(予定)
目的
EPR政令施行に向けた資源回収プラットフォームの可能性調査
実施体制
- レコテック:POOLシステム(※2)を提供し、資源回収効率の最適化・トレーサビリティの確立により製造業者などの需要家が資源を活用しやすい資源循環スキームを設計する
- URENCO:国営企業として建設局または環境資源局に属し、地域または都会での廃棄物の収集運搬および処理についての資源管理責任を持つ
- JUNK&CO.ltd:URENCOから委託を受け、POOLシステムを活用してベトナムで資源を回収する
今後の展望について、レコテックは以下を発表した。
- 資源循環プラットフォームの導入によって、都市資源の賦存量を可視化して流通全体を管理し、トレーサビリティを担保したPCR材の安定的な供給を実現する
- 資源循環の出口(需要家)の要求からバックキャスティングした回収リサイクルの仕組みを設計し、持続可能な資源循環と経済循環を構築する
- 税制の変革などで自社製品へのPCR材の活用が喫緊の課題である製造業者や、廃棄物を焼却ではなくマテリアルリサイクルする必要がある排出事業者にとって、課題の解決策となるサービスを展開する
- プラットフォームを活用して、最適な資源循環スキームを構築し静脈循環のCO2の排出量削減を実現し、脱炭素都市への移行に貢献する
資源循環スキーム設計を目指すレコテックの技術を活用した今回の実証によって、ベトナムが抱える課題が解決に向かっていくことが期待される。
※1 Plastic waste inputs from land into the oceanより
※2 POOLシステム:排出者がごみの種類・量・発生場所などの情報を記録するためのWebアプリケーション。店舗ごとにカスタマイズでき、小さい作業負荷でごみの計量を管理できる。蓄積されたデータはグラフや集計表などに加工することで、ごみの発生抑制対策の検討・報告書作成などに役立つ
【プレスリリース】アジアのプラスチック問題を解決するために、 ベトナムでプラットフォームを活用した資源回収実証を開始
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*冒頭の画像の出典:レコテック株式会社