株式会社FOOD & LIFE COMPANIES・日揮ホールディングス株式会社・株式会社レボインターナショナル・合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYの4社は4月5日、国産の持続可能な航空燃料(SAF)製造に向け廃食用油の供給に協力する基本合意書を締結した。

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES傘下の2組織である回転すしチェーン「スシロー」と大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」で発生する使用済み食用油をSAF製造の原料として供給する。計約680店舗で、年間約90万リットル(2030年の国内SAF需要は約25億リットル)の供給を見込む。

大手外食チェーンが全国規模で基本合意書を締結し、廃食用油をSAF製造に供給する具体的な取り組みは、業界初となる。

4社の役割は、次のとおり。株式会社レボインターナショナルは、「スシロー」と「鮨 酒 肴 杉玉」で廃食用油を回収し、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYに引き渡す。合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYは、大阪府堺市に建設中の日本初となる国産SAFの大規模生産施設で、廃食用油からSAFを製造する。同施設は、2024年度下期~2025年度初頭に生産開始予定。日揮ホールディングス株式会社は、同SAF製造事業に関するサプライチェーン全体を構築する。

合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYは、2022年11月に日揮ホールディングス株式会社・株式会社レボインターナショナル・コスモ石油株式会社が設立した。合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYは、国内で発生する廃食用油のみを原料としたSAFを年間約3000万リットル供給することを目指す。同SAF製造事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が採択した助成事業である。

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES・日揮ホールディングス株式会社・株式会社レボインターナショナル・合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYは、今回の取り組みを通じて国産SAFの供給体制を構築していきたい考えだ。

人が原因で発生する温室効果ガスの排出量において航空業界が占める割合は、CO2が1.6%、温室効果ガス全体が7%であるとドイツのイニシアチブは発表している。SAFは原油からつくる燃料と比べてCO2排出量を約80%削減できることから、国土交通省は2030年時点で国内航空会社による燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を掲げている。

SAF供給において、環境省は未利用の廃棄物の可能性に言及している。廃食用油の一部は輸出され燃料化されており、SAF製造を含めた国内資源循環を進め、エネルギーの国産化に取り組むことが重要だとしている。今回の4社の取り組みの展開が、国内でのSAF製造加速に貢献していくことが期待される。

なお、世界のSAFの需要は今後増えることが予測されるが、現在SAFの供給量は世界のジェット燃料供給量の0.03%に留まっている。その要因の一つが高い製造コスト(従来のジェット燃料の2~16倍)であることから、国産SAF製造者に対するインセンティブの必要性も指摘されている。

【プレスリリース】大手外食チェーン初、国産SAF製造に向け全国規模で廃食用油の供給に協力する基本合意書を締結
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