株式会社資生堂・積水化学工業株式会社・住友化学株式会社はこのほど、プラスチック製化粧品容器を回収して分別せずに資源化・原料化し、容器として再生する循環モデル構築に向けた取り組みを開始すると発表した。

化粧品容器は、中身の保護・使いやすさ・デザイン性が重視されるため、さまざまなプラスチックから作られており、分別が難しいことがプラスチックの循環利用における課題となっていると3社はみている。そこで今回、3社は共同でプラスチック製化粧品容器の回収から再生までの新しい仕組みを構築することを決定した。

3社の役割は、以下のとおり。

  • 株式会社資生堂:店頭を通じたプラスチック製化粧品容器の回収の仕組みの構築と、化粧品容器への再生ポリオレフィン(※1)の活用に取り組む
  • 積水化学工業株式会社:使用済みプラスチックなどの可燃性ごみを分別せずにガス化し、微生物を利用してエタノールに変換するBRエタノール技術(※2)を用いて、プラスチックの原料であるエタノールに資源化する
  • 住友化学株式会社:資源化したエタノールを原料としてエチレン(※3)を製造する技術を用いて、従来の化石資源を原料とした製品と同等の品質を持つ再生ポリオレフィンを提供する

(出典:株式会社資生堂、積水化学工業株式会社、住友化学株式会社)

今後、3社は連携して関連する業界や企業にも参加を働きかけ、サーキュラーエコノミー移行を目指していきたい考えだ。現在、さまざまなプラスチックから製造されている容器包装の再資源化を目指し、多くの組織が分別回収と水平リサイクルへの取り組みを進めている。今回3社が開始する取り組みは、さまざまなプラスチックの原料はそのままに分別なしに資源化できるということで、作業の簡略化と「ごみの再資源化」促進への貢献が期待される。加えて、BRエタノール技術は高い生産効率と、従来の石化品と比較して十分に競争力のあるコストを実現すると積水化学工業株式会社は発表している。同取り組みの今後の展開が注目される。

※1 ポリオレフィン:ポリエチレンやポリプロピレンなどの総称でプラスチック(合成樹脂)の一種
※2 BRエタノール技術:ごみ処理施設に収集された可燃性ごみを一切分別することなくガス化し、微生物により、熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する技術。2017年に積水化学工業株式会社とバイオ技術会社の米ランザテックが開発した。BRはバイオリファイナリーの略
※3 エチレン:ポリエチレンなどの合成樹脂や有機化合物の原料

【プレスリリース】3社協業によるプラスチック製化粧品容器の 新たな循環モデル構築に向けた取り組みを開始
【参照リリース】“ごみ”を“エタノール”に変換する世界初の革新的生産技術を確立
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