国立大学法人静岡大学と静岡大学発のベンチャー企業S-Bridges(エス ブリッジズ)株式会社、および帝人フロンティア株式会社はこのほど、茶葉の未利用成分の抽出・分離濃縮技術を開発した。

3組織は同技術を茶殻やほかの農産物にも応用し、未利用だった有用成分をさまざまな用途に展開する「廃棄物排出ゼロ」モデル構築の取り組みを開始する。3組織が発表した内容は、以下のとおり。

同技術では、従来の方法で抽出できなかった茶葉の繊維・たんぱく質・カテキンなどの有用成分をほぼ全量抽出・分離濃縮できるため、葉全体を活用できるとともに、一般的な植物の葉や果実にも応用できる。技術開発において、静岡大学とS-Bridges株式会社が有する茶葉の細胞壁を破壊して有用成分を抽出する技術と、帝人フロンティア株式会社が有する成分の分離濃縮技術を融合させた。茶葉や茶殻から抽出・分離濃縮した有用成分を工業製品や食料品、および飼料や肥料に組み入れるなど、さまざまな用途での展開を目指す。

今後、3組織は以下の取り組みを展開していく予定だ。

  • 2023年後半に、茶葉の繊維を使用した製品の販売を開始し、たんぱく質やカテキンなどを含む製品を順次販売する
  • 茶葉を活用して廃棄物ゼロの取り組みを開始し、順次さまざまな業界・企業と連携して、各地域・各素材で取り組みを拡大する
  • 農産物の有効活用を通したサーキュラーエコノミー実現に賛同する生産者や企業などに、「廃棄物排出ゼロ」モデル構築の輪を広げていく

茶葉をはじめ、一般的な植物の葉や果実の未利用だった有用成分をさまざまな製品として循環させる同技術によって、農産物の有効活用と廃棄物削減が促進されていくことが期待される。

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*冒頭の画像は、3組織が開発した技術を用いて茶葉から抽出・分離濃縮した茶葉繊維(出典:国立大学法人静岡大学、S-Bridges株式会社、帝人フロンティア株式会社)