住友ゴム工業株式会社はこのほど、個体識別できるRFID搭載市販タイヤを10月から発売すると発表した。同社によると、RFID搭載市販タイヤの販売は、国内メーカー初となる。

対象商品は、EV路線バス向けリブタイヤDUNLOP(ダンロップ)「e. ENASAVE SP148」と、タクシー用オールシーズンタイヤ DUNLOP「ALL SEASON MAXX AS1 for TAXI」。今後、対象を順次拡大する予定だ。

RFIDは、品質保証・クレーム対応・模倣品排除などのトレーサビリティ確保を目的に、従来バーコードやQRコードを用いて実施していた個体識別を電波を用いた無線通信技術によって確認する技術だ。RFIDを搭載することで、製造・販売・使用などのライフサイクルのさまざまな段階において、タイヤデータを取得できる。そのため、使用状況や走行履歴などの分析・安全性や作業効率の改善・リトレッド※回数の向上・材料リサイクルの促進に貢献することが期待されるとしている。今後、同社はリトレッドや維持などのソリューション事業を中心に、顧客の需要に合った付加価値の高いサービス提供に向けて開発を進めていきたい考えだ。

2023年1月、同社はRFIDを活用したタイヤトレーサビリティの業界標準を策定する国際団体「GDSO(Global Data Service Organisation for Tyres and Automotive Components)」に加盟。その後、タイヤ性能への影響やRFIDタグの耐久性など、量産タイヤ搭載に向けての課題を解決し、今回の発売開始にいたった。

サーキュラーエコノミー移行に向けて、同社は2023年3月、タイヤ事業におけるサーキュラーエコノミー構想「TOWANOWA(トワノワ)」構想を策定した。今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)経営を実践していきたいとしている。

タイヤは高い環境負荷が指摘されており、持続可能性向上に向けた法整備をはじめ、さまざまな取り組みが進められている。RFIDに関しては、経済産業省はRFIDを活用した食品ロス削減に関する実証実験を2021年に実施、英国の研究所は衣類の長寿命化に向けてRFID活用を推奨するなど、資源循環の見える化に向けた活用が注目されている。住友ゴム工業が今回発表したような取り組みが、タイヤのトレーサビリティ向上および循環移行に貢献していくことが期待される。

※ リトレッド:摩耗したタイヤの基礎部分を活用して路面に接するトレッド部分に新しいゴムを貼り付けてリユースすること

【プレスリリース】国内メーカー初※1のRFID搭載市販タイヤを発売
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*冒頭の画像は、RFID搭載タイヤのサイドウォールマーク(出典:住友ゴム工業株式会社)