統計調査データプラットフォームを提供する独スタティスタはこのほど、4R(リユース、レンタル、リファービッシュ、リサイクル)の市場規模が2026年に7127億ドルになるとの予測を発表した。2022年の3339億ドルから年率約20%で成長し、約2倍になるとみている。
同社は、報告書「Consumer trends 2023:Sustainability edition」を公開し、2023年に注目すべき4つの消費動向を示した。同報告書の概要は、以下のとおり。
消費財・小売業界は、気候変動に対して積極的に取り組んでおり、多くの企業は年次報告書にESGへの取り組みを掲載している。投資の増加に伴い、新たな動向である技術や事業モデルも登場している。今後、4R・ラグジュアリーブランドにおける中古品サービスへの進出・修理による消費財の長寿命化・次世代素材の開発などの取り組みが、サステナビリティ目標達成に向けて推進されると想定される。
4R市場の予測
- リユース:2026年の市場規模は3341億ドルに(2026年の主要分野はアパレルで、995億ドル)
- レンタル:2026年市場規模は1163億ドルに(2026年の主要分野はDIYとハードウェアで、400億ドル)
- リファービッシュ:2026年市場規模は2622億ドルに(2026年の主要分野は家電製品で、1197億ドル)
- リサイクル:45%の消費者が「リサイクルされていない製品を買うことに、もう興味がない」と回答
現在、中古品が循環型消費財市場に占める割合は最大で、2022年の収益の半分以上が中古品分野からであった。消費者は持続可能で安価な消費財を求めているため、この傾向は今後も続くことが予想される。
サーキュラーエコノミーの成長を後押しする要因の一つは、サーキュラーエコノミー移行に向けた政策が世界で推進されていることだ。欧州委員会は、2020年にEU全域でサーキュラーエコノミーを加速させるための新循環型経済行動計画を公表。修理する権利などの措置の導入も、さまざまな国や地域で進められている。
2023年以降の消費財・小売業界におけるサステナビリティ動向の要点は、次のとおり。
- 持続可能性に対する消費者の関心は高いが、生活費危機が持続可能な消費の妨げとなっている
- グリーンウォッシングが懸念されるなか、ブランドは透明性と責任を持って持続可能性に関して主張する必要がある。高級ブランドは中古品など、より持続可能なチャネルに注力していくと予測される
- 中古品やレンタルが主流になるにつれて、循環型事業モデルは収益を増やし、注目を集めるようになる。修理はより一般的になり、消費者は修理を好むようになるだろう
- 材料生産のイノベーションは、産業を後押しする可能性を秘めている。ファッション業界では、業界を牽引するブランドが植物由来の革や布地の代替品を開発している
【プレスリリース】サステナビリティ消費が急成長 サーキュラーエコノミー(循環型経済)の市場規模が2026年に7,127億ドルに達するとStatistaが発表
【参照レポート】Consumer trends 2023:Sustainability edition
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