東京ガス株式会社(以下、東京ガス)と鹿島建設株式会社(以下、鹿島)はこのほど、鹿島らが開発したCO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM®」を製造する技術に共同で取り組むことに合意した。同コンクリートは、都市ガス機器利用時の排ガスに含まれるCO2を吸収・固定化させて製造する。

両社は、東京ガス千住テクノステーションにおいて地先境界ブロックの試験製造を実施し、排ガスに含まれるCO2を吸収・固定化できることを確認し東京ガス日立LNG基地の外構工事に導入した。両社によると、都市ガス機器利用時の排ガスを利用したコンクリートの製造は世界初の試みとなる。

(出典:東京ガス株式会社、鹿島建設株式会社)

2020年10月に日本政府は「2050年温室効果ガス実質排出ゼロ達成」を宣言し、カーボンリサイクルなどの革新的イノベーションが達成への重要な要素であることを示した。これを受け、経団連は2020年11月に新たな成長戦略である「。新成長戦略」を発表し、CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)などのイノベーションを国家プロジェクトとして官民連携で強力に推進することを表明している。カーボンリサイクル技術は気候変動対策の一つとして注目されており、コンクリートへのCO2固定化は有望な技術とされていると両社は認識している。

今回の技術開発ではコンクリートブロック1m3当たり約300kgのCO2削減を実現し、生産活動をしながら大気中のCO2をマイナスにする「植物のようなコンクリート」の提供を目指すとしている。両社は、今後の本格商品化に向けてCO2固定量を増加させる技術開発を進め、無筋プレキャストコンクリートブロックの各種商品(太陽光発電設備の基礎ブロックや境界ブロックなど)に「CO2-SUICOM」の技術を活用していくことで、日本国内のCO2排出総量の削減および脱炭素社会の実現に貢献していく意向だ。

(出典:東京ガス株式会社、鹿島建設株式会社)

CO2-SUICOMの特徴

東京ガスと鹿島は、CO2-SUICOMの特徴について以下のように発表した。

  • 通常のコンクリートはセメントと水の反応により固まるが、CO2-SUICOMはセメントの半分以上を特殊な混和材γ-C2S(原料は化学工場の産業副産物)などに置き換えることにより、CO2を吸収しながら硬化する性質を持つ
  • 産業副産物の有効利用とコンクリートへのCO2の大量固定化により、CO2排出量ゼロ以下を実現する

大成建設株式会社も工場の排気ガスなどより回収したCO2から製造する炭酸カルシウムを用いたコンクリートをすでに開発しており、今後CO2吸収型コンクリートの開発が加速していくことが予想される。

【プレスリリース】世界初!都市ガス機器利用時の排ガスを利用した「CO2吸収型コンクリート」製造を開始
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