英総合リサイクル・廃棄物管理大手Viridor社と英ケミカルリサイクル専門PLASTIC ENERGY社は5月18日、基本合意書(MOU)を締結したと発表した。今回の提携は、これまでリサイクルが難しかったプラスチックフィルムを価値のあるものに変えるものだ。

両社の発表によると、プラスチックから再生油を抽出するPLASTIC ENERGY社の新施設の設立に向けた予備調査を開始しているという。新施設は、従来リサイクルされていなかったプラスチック3万トンをリサイクルすることを目標としており、資源とエネルギー効率を高める。順調に進捗すれば、2023年末までに完了する予定だ。今回の提携はイギリスのサーキュラーエコノミーへの移行に向けた画期的なパートナーシップを象徴すると、両社は強調した。

具体的には、Viridor社がこれまで汚染のためにリサイクルされていなかった低密度ポリエチレン(LDPE)を、PLASTIC ENERGY社のケミカルリサイクル施設へ供給する。この施設は、Viridor社のエネルギー回収施設と同じ場所での設立を予定。そのため、リサイクルが不可能だった廃棄物を燃料源にした低炭素電力をPLASTIC ENERGY社は取得することができる。

このケミカルリサイクル施設は、PLASTIC ENERGY社によって所有・開発・管理される予定としている。廃プラスチックから製造された再生油(TACOILと呼ばれる)は、化学業界と共同で、バージン(新品)プラスチックと同品質の再生プラスチック原料を製造するための供給原料として使用される。

Image via PLASTIC ENERGY

Viridor社のマネージングディレクターであるPhillip Piddington氏は、今回の提携の開始についてこう述べた。

「この提携は、リサイクルや再処理の限界を広げる投資やイノベーションを起こすというお約束をさらに象徴するものです。すべての廃棄物はごみでなくむしろ資源である、と証明されるプロジェクトをPLASTIC ENERGY社と開始できることを誇りに思います。同時に、今回の協働は、当社のグリーン経済への目標を達成するカギになると考えています」

Viridor社は、より完全なリサイクルができるポリマーへの投資を実施してきたが、今回の締結により、さらに動きを加速させる。

また、PLASTIC ENERGY社の創設者兼CEOのCarlos Monreal氏は、「イギリス国内でViridor社と統合された施設を開発していくことができ、またこれまでリサイクルされてこなかったプラスチックへの解決策に一石を投じることができることを嬉しく思っております」とコメントした。また、「ケミカルリサイクルは、サーキュラーエコノミーへの移行、そして廃プラスチックを効率的に価値のある資源に変え、リサイクル率を高める政府目標をサポートすることにつながります」とケミカルリサイクルの意義を強調した。

【参考記事】Viridor and Plastic Energy announce ground-breaking UK circular economy collaboration
【参考記事】Viridor And PLASTIC ENERGY Announce Ground-Breaking UK Circular Economy Collaboration