ザンビアが、国としてサーキュラーエコノミー(循環型経済)へ移行することを宣言した。5月22日に首都ルサカで開催された「Circular Zambia Forum 2025」で表明されたもので、官民から150名以上の関係者が集まり、鉱業、製造業、エネルギー分野における具体的なビジネス機会について議論した。
銅などの鉱物資源に経済を依存するザンビアにとって、サーキュラーエコノミーへの移行は資源の有効活用、新たな産業の創出、環境負荷の低減といった多面的な利点をもたらす。
フォーラムのテーマは「ザンビアにおける循環型ビジネス機会の解放:鉱業、製造業、エネルギー」。参加者には、ブラジルで開催された世界循環経済フォーラム(WCEF)の国際的な成功事例や、ザンビア国内で進行中のイノベーションが紹介された。
国内事例としては、以下の取り組みが挙げられた。
- FQM(First Quantum Minerals): 電気トロリーアシスト運搬の導入や再生可能エネルギー源の開発による事業の脱炭素化
- Surya Biofuels: 廃糖蜜からエタノールを製造し、副産物として液体有機肥料を生産
- Yaaka Investment: 電子ごみから貴金属を回収
- Sunny Money: 太陽光で発電するソーラーライトの回収と修理
また、ブラジルではバイオエタノールがガソリン価格の7割で販売されている事例も紹介され、ザンビア国内でのエタノール生産が輸送部門の脱炭素化に貢献する可能性も示された。
議論では、循環型ビジネスモデルの規模拡大には、政策による後押し、セクターを横断した協力、そして官民の資金を組み合わせる「混合金融(ブレンデッドファイナンス)」が重要である点が強調された。混合金融は、公的資金や開発援助資金を活用して民間投資のリスクを低減し、より多くの資金を呼び込む手法だ。
具体的な支援策として、ザナコ銀行のグリーンファンドや、EUが出資する「GREENTech4CE」プロジェクトが挙げられた。GREENTech4CEは、サーキュラーエコノミー関連の投資に対し、費用の一部(最大50%)を助成金で補填することで、プロジェクト全体のリスクを軽減し、資金調達を容易にする。
フォーラムは、サーキュラーエコノミーへの移行が環境面だけでなく、ザンビアにとって経済的な戦略でもあることを確認し、行動を起こすべき時が来ているという明確なメッセージと共に閉幕した。
この移行を主導するザンビア・サーキュラーエコノミー・ネットワーク(ZamCEN)は、教育や意識向上、ネットワーキングの場の提供、政策対話、事業開発支援、研究に加え、産業間で副産物や廃棄物を資源として融通し合う「産業共生」の推進を通じて、この転換を支援していくことを改めて表明した。
【プレスリリース】Circular Zambia Forum 2025 Declares: Zambia is going circular
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