ベルギーの総合化学大手ソルベイと仏の廃棄物・水管理、エネルギーサービスのヴェオリアはこのほど、循環型の取り組みにおけるパートナーシップを発表した。両社は連携して、電気自動車(EV)とハイブリッド自動車(HV)のリチウムイオン電池に使用されている希少金属の再利用を促進する新しいソリューションを提供する。

現在、800万台のEVが世界中を走行している。その数は2030年までに1億1600万台に増加すると予測されており、リチウムイオン電池の原材料の安定的な確保が大きな課題となっている。しかし、EV用リチウムイオン電池に使用されている原材料は最大限にリサイクルされていない。

そこで、ソルベイとヴェオリアはバリューチェーンの各工程において技術調整を行いながら、使用済みバッテリーを解体し、金属の抽出と精製を行うことを決定した。実施にあたっては、ヴェオリアの子会社であるサープインダストリーズを通じて、自動車メーカーやバッテリーセル製造業者との連携を密に行っていく。

ヴェオリアは、2013年からフランス東部のリサイクル工場でEV用バッテリーを解体し、機械的プロセスと湿式冶金プロセスを組み合わせて、活性セルの処理と活性金属の抽出を行っている。抽出された金属は新しい原材料に変換され、産業用に使用されている。

今回の連携におけるソルベイの役割は、コバルトやニッケル、リチウムなどの希少金属の抽出と精製を最適化し、新しい電池用の高純度の原料に変換することだ。ソルベイは、バインダーおよびセパレータ用の高性能特殊ポリマーや電解液添加剤とヴェオリア独自の廃棄物管理経験を組み合わせて、EVとHVバッテリーのバリューチェーンに貢献する。ソルベイは、2030年までに生物由来またはリサイクルベースの素材から収益の15%を生み出すことを計画している。

ソルベイの最高経営責任者(CEO)であるイルハム・カドリ氏は、「ヴェオリアとのパートナーシップを本当に嬉しく思う。私たちの技術は、バッテリーに新しい命をもたらすだろう」と述べている。ヴェオリアの会長兼最高経営責任者(CEO)であるアントワーヌ・フレロ氏は、「EV用バッテリーのリサイクルと、バッテリーに含まれる汚染物質の管理は、生態系と産業における大きな課題だ。ヴェオリアとソルベイの提携は、リサイクルバリューチェーンの開発と新しい電池のための原材料生産を支援する。今欧州ではバッテリーに必要な原材料は輸入が大半を占めるが、将来は欧州でリサイクルされることになるだろう」と語っている。

EV用リチウムイオン電池に使用されている希少金属の再利用を促すソルベイとヴェオリアの連携。リチウムイオン電池のリサイクルは、EVのさらなる普及を促進していくだろう。

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