世界経済フォーラムは1月15日、20回目となる「グローバルリスク報告書2025」を発表した。本報告書は、2024年9月と10月に900名以上の専門家や政策立案者を対象に実施した調査結果をもとに、短期および長期的なリスクの現状と将来予測を示している。
報告書によると、経済リスクはさほど顕著ではなくなった一方で、地政学・環境・社会・テクノロジーにおけるリスクが深刻化していると指摘。短期的には「国家間の武力紛争」や「誤報と偽情報」が、長期的には「異常気象」や「生物多様性の喪失」といった環境リスクが最大の懸念材料となっている。
「国家間の武力紛争」は、回答者の4分の1が2025年で最も深刻な課題として挙げており、地政学的緊張の高まりを象徴している。また「誤報と偽情報」は、社会の不安定化や信頼の損失を助長し、必要な国際協調を妨げるリスクが指摘されている。このような短期的な課題に対しては、迅速な対応と協力体制の構築が求められる。
一方、長期的には環境リスクが特に顕著である。「異常気象」「生態系の崩壊」「地球システムの危機的変化」「天然資源不足」などが上位4つに挙げられた。前年報告書と比べ、今回の報告書は「生態系の崩壊」と「地球システムの危機的変化」の順位は入れ替わっているものの、上位4つの環境リスク自体には変化はない。また、テクノロジー分野においては、「誤報と偽情報」に加えて「AI技術がもたらす有害事象」などがリスクとして浮上した。
本報告書は、世界経済フォーラムの「グローバル・リスク・イニシアチブ」の主導によって作成された。報告書では、こうしたリスクが複雑に相互連関していると指摘。地政学的な緊張や気候危機に対し、世界のリーダーたちは連携とレジリエンス、信頼回復を重視した行動を求められているとし、持続可能な未来のために対話と国際的な連携を優先するように提言した。
【プレスリリース】グローバルリスク報告書2025年版: 紛争、環境、偽情報が最大の脅威に
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