ブロックチェーンの開発を手掛ける株式会社digglue(ディグル)は12月20日、会社間の情報連携ができるトレーサビリティ・システム「MateRe-Traceability(マテリ・トレーサビリティ)」のベータ版の提供を開始したと発表した。同システムは、サーキュラーエコノミーを推進するため、会社と会社の情報をスムーズに連携させるトレースシステム。企業間の情報連携の課題を解消することで、サーキュラーエコノミーを加速させるとしている。

サーキュラーエコノミーの実現には、多くのステークホルダーの連携が必要だ。しかし従来、企業間の情報連携は限定的で、業務プロセスや業務アプリケーション、各種システムが孤立し、情報が連携されていないサイロ化が進み、分断されてきた。サプライチェーン上のトレーサビリティの重要性を認識している企業や業界でも、業界縦割りの短い範囲のトレーサビリティにとどまり、動静脈産業を横断した連携や、競合、異なる業界での連携はあまり進められてこなかった。

その理由について、「現場の負担がかかる」「ステークホルダーを巻き込めない」「開発(導入)コストに対してメリットが釣り合わない」という3つのハードルがあると、同社は指摘する。サーキュラーエコノミーを推進するスタートアップとして多数の実証・実装プロジェクトを経て得た知見と、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ・システムの開発経験を活かし、「クイックでシンプルに導入できる」新たなシステムとして同社が開発したのが、MateRe-Traceabilityだ。

同システムは、トレーサビリティの業務を汎用的に捉え、「入荷」「処理」「出荷」の3つの機能に絞っている。自社が関わった物・素材のトレーサビリティ情報を「トレースバック情報(どこから来たのか)」「トレースフォワード情報(どこへいったのか)」として表示。さらに、自社用にカスタマイズした項目を作り、テンプレートを活用しながら、自社のプロセスの入力・記録を入力が可能することができる。将来的にはQRコードやRFIDなどの非接触の自動認識技術を利用し、さらに省力化を図る。

活用例として挙げられるのが、再生材の由来証明だ。プラスチックなどの再生材では、その由来を明確にすることで価値を高めることができる。特に、ケミカルリサイクルされた樹脂はバージン材と性能差がないためリサイクル材の証明が困難だが、同システムを用いることでリサイクル材の出処や処理プロセスを明確にできる。今後は、トレーサビリティの各プロセスにおいて、証明書を添付する機能を実装する予定。

ほかにも、製造業や小売・食品・素材メーカなど、サプライチェーンのトレーサビリティを実現するツールとしても導入可能としている。

同社は2024年1月12日午後1時から、オンラインセミナー「トレーサビリティが変えるデータの未来・再資源化の価値」を開催する。サプライチェーン、バリューチェーンをトレースすることの意味、トレーサビリティ・システムにおけるブロックチェーンの役割や要否などを解説する。定員は500名、先着順。参加費は無料で、プログラムは約1時間の予定だ。

【プレスリリース】サーキュラーエコノミーを加速:digglue、『MateRe-Traceability(マテリ・トレーサビリティ)』β版をリリース
【関連記事】digglue、製造業向け「排出状況の見える化」サービスを開始。資源循環DXプラットフォーム第1弾
【関連記事】digglue、排出物・CO2排出量の可視化・報告機能を提供するサービスを開始
【関連記事】【サーキュラーエコノミーマーケットマップ】編集部が注目する国内スタートアップ/ベンチャー11社、一挙公開