一般社団法人シェアリングエコノミー協会は2023年11月10日~17日、シェアウィーク2023を開催した。

シェアリングエコノミーは、環境負荷低減と経済性向上に貢献するとともに、私たちの生活と心を豊かにする新たな「文化」を創り出す可能性を秘めている。シェアリングエコノミーは、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの一つとして位置付けており、現在さまざまなシェアリングサービスが開発および展開されている。

シェアリングエコノミー協会は2016年から毎年、シェアサミットを開催。年に一度のシェアカンファレンスとして、政府・自治体・企業・個人・あらゆる分野のステークホルダーが集い、毎年の動向や世の中の潮流に合わせて情報を共有し学ぶ場として展開している。

2023年は「持続可能な共生社会の未来を考える1週間」として期間を延長し、2022年までのトークセッションとネットワーキングに加え、リアルイベント企画として体験型スタディツアーやローカルイベントも実施した。

本記事では、トークセッション「サステナビリティの未来〜企業成長と資源循環の両立のために必要な具体策とは〜」をレポートする。同セッションでは、企業経営へのサステナビリティ採用が一般的となりつつあるなか、サステナビリティを経営に落とし込み、社会を巻き込みながら成長を遂げる企業の特徴について議論された。

モデレーター

  • 天沼 聰 氏:株式会社エアークローゼット 代表取締役社長 兼 CEO

登壇者

  • 渋澤 健 氏:シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役 兼 コモンズ投信株式会社 取締役会長
  • 田中 将吾 氏:経済産業省 資源循環経済課長
  • 末吉 里花 氏:一般社団法人エシカル協会 代表理事 / 日本ユネスコ国内委員会 広報大使

冒頭、モデレーターの天沼氏は企業成長と資源循環の両立は難しいものの、現状を知って未来につなげていくことが大切であると強調。長期目線での取り組み、およびサステナビリティの重要性への共感と個人の行動も重要だと述べた。

社会観の共有:2023年の社会・経済の変化

最初に、2023年の社会観・経済の変化について認識が共有された。

渋澤氏は、「日本はかつてない激動の時代を迎えており、社会構造は大きく変化している。人口動態も変化しており、昭和の成功体験の延長ではなく新しい考え方が必要だ」と強調。大切なのは人的資本で、人の価値を高めなくてはならないとし、日本の人口が減ってもイノベーションで新たな環境に適応することで未来を描けるとの見解を示した。

田中氏は、日本と外国の動向を紹介した。「いままで日本では需要は伸びていたが、人口減少によって最適投資が変化している。シェアリングなどによって、製品の稼働率を上げながら製品を長寿命化させることについての議論が必要だ」と語った。外国では、人口が増加している国への投資が高まっており、資源の動きも変わってきているとし、日本は内需への投資と製品の稼働率、および外国の事業の動向と規制の両方を考慮しなくてはならないと述べた。資源循環においても世界的に規制が駆け引きされており、世界的に事業展開する場合、日本として貢献するべくソリューションを検討しなくてはならないとの考えを示した。

末吉氏は、近年エシカルおよびサステナビリティに関する認知度は若者を中心に高まっている一方、こうした考えを知らない、もしくは安さを重視する消費者もいると述べた。エシカル・サステナビリティに重点を置き、環境配慮型の製品が生活の質を高めるという世界観をつくっていかなくてはならないと語った。

設計の議論:企業成長と資源循環を実現するうえでの課題と必要な要素

渋澤氏は、資金と同様に想像力が必要であるとし、実現可能か否かという目先のことではなく、あるべき姿を定めて逆算し、新しい価値をつくることが大切だと述べた。

田中氏は、「内需依存型産業については、欧州のように規制によってほぼ対応できる。世界的に事業展開する企業には、開示を義務づけて金融面で圧力をかけることも有効だが、これだけでは収益は発生しない」との考えを示した。消費者への支援も必要で、日々の生活の中で企業の取り組みや規制などによって製品の可視化を促進し、消費者が循環型の行動を実現できるようにすることが大切だと語った。

末吉氏は、消費者の選択肢を増やすこと・ラベル表示、および企業・行政・消費者が簡単に参加できるプラットフォームの構築が重要だと述べた。資源循環に貢献している組織に対する税制優遇や助成金など、インセンティブの必要性も示唆。企業成長と資源循環の両方の実現は難しいとし、成長の意味を再考することも必要だと語った。

実際の議論:現在取り組んでいる新たな事業

田中氏は、「循環に資する表示に関する規制を将来的に整備していきたい。これまで資源自体に焦点があてられてきたが、長期的な製品の稼働率や使い方の可視化について支援していきたい」と語った。

渋澤氏は現在、アフリカ向けのインパクト投資を立ち上げている。これから人口が増えるアフリカで、テクノロジー・人・資金によってアフリカの人的資本を日本企業の協力のもとで向上させることを目指すと述べた。

末吉氏は、消費者に向けて普及啓発を続けており、若者向けの教育に注力。企業の変化を促進するべく、企業・自治体などに消費者としてのポジティブな声を届けることの重要性を消費者に伝えている。

最後に、社会への提言が発表された。資源循環においてすべての人がステークホルダーであり、それぞれの立場でできることを考えて行動を起こすとともに、協働によって産業を成長させていくことの大切さなどが共有された。

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*冒頭の画像の出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会