近畿経済産業局は、サーキュラーエコノミーの普及とビジネス創出を目的としたPR冊子「Rethink Design Report 2026~どう伝えるか、サーキュラーエコノミー~」を公表した。
同冊子は、CEの価値を「消費者にどう伝え、選ばれるか」に焦点を当て、販売・サービスの現場における実践知を整理したもの。これまで製造事業者を中心に進めてきた価値のつくり方に加え、価値の伝え方へと議論を広げている。
背景には、環境配慮型の商品やサービスであっても、消費者に価値が十分に伝わらなければ選ばれず、市場に広がらないという課題がある。特に、小売やサービス事業者など消費者と直接接点を持つプレイヤーの役割が重要であり、同局はこうした存在を「循環価値のプロモーター」と位置づけた。プロモーターは、消費者との接点から得たデータやニーズを製造側に還元するなど、サプライチェーン全体をつなぐハブとして機能することが期待される。
冊子では、こうしたプロモーターによる10件の先進事例を紹介している。
- 株式会社良品計画(無印良品 イオンモール橿原):店舗を循環拠点とし、「ReMUJI」による回収・再生・再販を展開
- イオン株式会社:小売事業全体で資源循環を組み込んだ取り組みを推進
- 株式会社斗々屋:量り売りなどを通じて廃棄物を出さない購買体験を提供
- 株式会社ユナイテッドアローズ:回収・リユースを取り入れた循環型ファッションを展開
- JR西日本SC開発株式会社(ルクア大阪):商業施設を起点に循環型ライフスタイルを提案
- 株式会社クラス:家具・家電のサブスクリプションにより「所有から利用へ」の転換を促進
- 株式会社エアークローゼット:スタイリングと衣類レンタルを組み合わせた新たな衣服利用モデルを提供
- 株式会社SANU:自然共生型の循環建築・宿泊サービスを展開
- GOOD NATURE HOTEL KYOTO(株式会社ビオスタイル):環境配慮を体験として提供するホテル運営
- 長瀬産業株式会社:プラスチック循環を支援するプラットフォームを展開
たとえば、株式会社良品計画が展開する無印良品のイオンモール橿原では、「ReMUJI」として衣料品や家具の回収・再生・再販を一体的に行い、店舗を循環拠点として機能させている。複数の循環ルートを組み合わせ、「売って終わりではない関係性」を構築するとともに、店頭で価値や背景を伝えることで循環を体験として理解できる場を提供している。
株式会社クラスは、家具・家電のサブスクを通じて回収・修繕・再流通を一体化し、「所有から利用へ」の転換を実装。利便性やデザイン性といった価値を軸に、循環型の消費行動を促している。
エアークローゼットは、スタイリング提案と衣類レンタルを組み合わせ、服を所有しない選択肢を提示。楽しさや体験価値を入口に、自然と循環行動に参加できる仕組みを構築している。
これらの事例に共通するのは、環境価値を直接訴求するのではなく、利便性や体験、経済合理性といった要素を組み合わせることで、消費者にとっての選ぶ理由を設計している点にある。また、サービスや店舗の設計を通じて、意識に頼らず自然に循環行動を選択できる構造をつくっている点も特徴的だ。
加えて本調査では、こうした取組から得られた知見として、楽しさや利便性といった体験価値を入口に行動変容を促すこと、回収・再生のプロセスや環境効果を可視化して納得感を高めること、手間や心理的ハードルを下げる仕組み設計が重要であることが示された。
さらに、循環型ビジネスの拡大には、環境価値に加え、コスト削減や収益性といった経済合理性の確保、参入ハードルを下げる仕組み、製造・流通・回収を含めた連携体制の構築が重要であると指摘されている。
CEは資源循環と経済成長の両立を目指す経済モデルであり、国内市場は2050年に約120兆円規模に拡大する見通しとされる。同冊子は、CEの実現が単なる資源循環の問題ではなく、「価値がどのように認識され、選ばれるか」という市場設計の課題であることを示している。循環は仕組みだけでは回らず、伝わることによって初めて社会に実装されるという前提を改めて浮き彫りにした内容といえる。
【プレスリリース】PR冊子「Rethink Design Report 2026~どう伝えるか、サーキュラーエコノミー~」を公表
【参照記事】Rethink Design Report 2026~どう伝えるか、サーキュラーエコノミー~
【参照サイト】Rethink Designからみるサーキュラーエコノミーの実践知
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