経済産業省近畿経済産業局は3月24日、「サーキュラーシティ移行プロジェクト」を開始したことを発表した。自治体によるサーキュラーエコノミーの推進を後押しするもので、国内の先進事例や欧州の施策を参考に、自治体の思考変容や行動変容を促すことを目的としている。同日には、その実践知をまとめた「サーキュラーシティスターターキット(Circular City Starter Kit)」も公表された。

サーキュラーエコノミーは、リサイクルや再利用を通じて資源を可能な限り長く使い、新たな資源の使用や消費を抑える経済モデルだ。自治体は、ビジョンや戦略策定、住民啓発やステークホルダー連携、循環型ソリューション・サービス提携の主導などを通じて、サーキュラーエコノミー推進の中核的な役割を果たすことが期待されている。またサーキュラーシティとは、サーキュラーエコノミー概念を政策に取り入れ推進している自治体であり、ウェルビーイング、環境・資源リスク対応、企業の成長機会を目的としている。

欧州では、自治体によるサーキュラーエコノミーの取組が進められているものの、日本の事例はまだ限定的だ。本プロジェクトでは、官民連携によるマッチング支援や、国内外の先進事例の横展開を通じて、自治体が循環型都市としてのビジョンを描き、実装を進めることを支援する。特に政策体系、内部体制、外部連携、住民参画の4領域を重視し、実効性ある推進体制の構築を後押しする。

同時に公開された「サーキュラーシティスターターキット」は、和歌山県、埼玉県など国内の自治体を含む事例調査に基づき、自治体の循環型都市構想の支援ツールとして作成された。サーキュラーシティを「ウェルビーイング型」「地域資源活用型」「廃棄物削減型」「事業創出型」の4類型に整理し、目的やスケールに応じた取組パターンを提示している。

また、欧州でのボトムアップとシステミックなアプローチの融合事例も紹介されており、日本の地域性を踏まえつつ、段階的な導入と制度設計が可能であると示唆している。

本プロジェクトの主体である近畿経済産業局は、経済産業省の地方機関として、近畿圏の産業振興や地域経済の持続可能な成長を所管する。

今回の取り組みは、地域の資源循環型経済を確立するうえでの自治体の役割を再定義し、全国的な広がりに向けた第一歩と位置付けられる。

【プレスリリース】サーキュラーシティ移行プロジェクト
【参照記事】サーキュラーシティスターターキット(Circular City Starter Kit)
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