株式会社日立ハイテク、株式会社日立製作所、積水化学工業株式会社は6月5日、リサイクルプラスチックをはじめ再生材の活用促進を支援する「再生材マーケットプレイスシステム」のプロトタイプ版を用いた実証実験を行い、システムの有用性を確認したと発表した。2025年度内の事業化に向け取り組みを推進していく。

同システムは、再生材を原材料として購入したい買い手と、廃材を再生材として循環させたい売り手をつなぐマッチングや、一連の取引プロセスをオンライン上で実現するサービスを提供する。主な特徴は(1)再生材を使いこなす知見と生成AIを活用した初心者向けマッチング支援機能、(2)マテリアルズ・インフォマティクス(MI)ソリューションを活用したプロフェッショナル向けマッチング支援機能、(3)センシング・計測・分析技術による再生材の成形サポートや品質管理だ。

日立ハイテクのプラスチック材料に関する知見やコア技術である計測・分析技術と、日立のマテリアルズ・インフォマティクスや生成AIなどの先進デジタル技術を用い、日立ハイテクと日立が独自にシステムを開発。積水化学は、自社の製造工程で発生した廃材を提供するとともに、ユーザー視点で要望や改善点などを提案し、同システムの有用性検証に参画した。

製品メーカーや素材メーカーでは、再生材の活用や製造工程で発生する廃材の再資源化に対するニーズが高まっている。しかし、廃材由来の再生材はバージン材(新品の素材のみで製造したもの)に比べ品質が安定せず、物量が変動しやすい。取り扱いには知識と手間が求められ、再生材の買い手と売り手のマッチングが難しいという課題があった。

実証では、同システムのプロトタイプ版を活用し、積水化学の廃材を再生材に加工後、再生材の品質や性能を日立ハイテクの分析装置などを用いて評価した。その後、日立で再生材の品質および性能データをシステムにアップロードし、データをもとに買い手(製品メーカー)が自社製品の材料として採用できるかを検討。一連のプロセスが滞りなく成立することを検証し、同システムの有用性の確認および実証完了となった。

この成果をもとに、再生材の活用促進につながる同システムを活用したサービスの2025年度事業化を目指す。今後も3社は資源循環に向けた取り組みを加速し、サーキュラーエコノミーおよび持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。

【プレスリリース】日立と積水化学が、再生材の活用促進を支援する「再生材マーケットプレイスシステム」を用いた実証を完了
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(※画像の出典:株式会社日立ハイテク)