国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)がアゼルバイジャンの首都バクーで11月11日、開幕した。
24年米大統領選で勝利したトランプ前大統領のパリ協定再離脱準備報道や主要国首脳級のトップ会合欠席など、出だしから向かい風に直面するCOP29。政治に左右されるこうした「前進」と「揺り戻し」を気候変動は考慮してくれない。今回の会合においても、気候資金に関する目標、温室効果ガス(GHG)排出量削減目標であるNDCs(国が決定する貢献)の引き上げ、排出削減分を移転する市場メカニズムなど議題は山積みだ。
そうしたなか、従来よりネットゼロとサーキュラーエコノミー、最近ではネイチャーポジティブの統合的アプローチを求める声が高まっている。
遡ること2019年9月、国連気候行動サミットに合わせて発表されたエレン・マッカーサー財団によるレポート(COMPLETING THE PICTURE: HOW THE CIRCULAR ECONOMY TACKLES CLIMATE CHANGE“(*1))では、再生可能エネルギーとエネルギー利用効率化は、全てのGHG排出のうち55%に対しての取り組みであり、仮にこの55%が解決されたとしても、残りの45%にはアプローチされないと主張。この45%分は製品の製造・消費・土地利用の変化などに関連付けられた排出だとしている。セメント・アルミニウム・鉄・プラスチック・食に取り組むだけでもこの45%の半分程度、CO2換算にすると93億トンを削減できると算出した。
Circularity Gap Report 2022(*2)は、気候変動対策を1.5℃以内の軌道に乗せるためにグローバルでサーキュラリティをほぼ2倍の17%まで押し上げる必要があるとした。
直近では、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と国連環境計画のワンプラネットネットワークにより設立されたイニシアチブ「グローバル循環プロトコル(GCP)」は循環性に関する企業パフォーマンス・アカウンタビリティシステム(CPAS)や科学に基づく循環性指標を開発するが、GCPを導入することで、2026年から2050年にかけてGHG排出量の6%から7%の追加削減につながる可能性があると発表している。(*3)
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