経済産業省は7月24日、2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」に基づき、特に環境配慮設計が優れた製品を国が認定する「設計認定制度」の具体的な基準を公表した。対象は、清涼飲料用ペットボトル容器、文具、家庭用化粧品容器、家庭用洗浄剤容器の4製品分野だ。認定された製品は、グリーン購入法における配慮の対象となるなど、市場での普及が後押しされる。
プラスチック資源循環促進法は、製品の設計から廃棄物の処理に至るまで、プラスチックのライフサイクル全体での資源循環を促進するための法律だ。その施策の一つである設計認定制度は、リデュース(使用量削減)やリサイクルに適した設計がなされた製品を主務大臣が認定し、消費者に選択の指標を提供するとともに、事業者の取り組みを促進することを目的としている。
今回公表された基準は、4つの製品分野ごとに詳細な要件を定めている。
清涼飲料用ペットボトル容器
農林水産省と共同で策定されたこの基準では、ボトル本体は原則としてポリエチレンテレフタレート(PET)のみを原料とし、無着色であることが求められる。リサイクルを阻害しない範囲で例外的に添加物が認められる場合を除き、単一素材で構成する必要がある。さらに、日本産業規格(JIS)に適合する再生プラスチックやバイオマスプラスチックの合計重量が、容器全体の15%以上であることが要件だ。
文具
クリアーホルダーやファイル、バインダーなどが対象となる。基準は複数の選択肢が設けられており、事業者は自社の製品特性に応じて適合するルートを選ぶことができる。主な要件には、プラスチック使用量を従来製品比で20%以上削減すること、単一のプラスチック種類のみを使用すること、または再生材(プレコンシューマ材料40%以上、またはポストコンシューマ材料20%以上)やバイオマスプラスチック(10%以上)を規定割合以上使用することなどが含まれる。
家庭用化粧品容器
シャンプー、ヘアーリンス、ボディソープ、手洗い用石けんなどを充填する、詰め替えによる繰り返し使用が想定される容器が対象だ。プラスチック使用量を内容量で割った「原単位」を一定値以下に抑えることや、再生材・バイオマスプラスチックの利用比率などが定められている。特に詰め替え用のボトル形容器では、再生材の合計割合が60%以上であることが求められるなど、高い環境性能が要求される。
家庭用洗浄剤容器
洗濯用洗剤、柔軟仕上げ剤、台所用洗剤などを充填する容器が対象となる。こちらも化粧品容器と同様に、繰り返し使用される「本体容器」と詰め替え用の「ボトル形容器」「フィルム形容器」などで基準が分かれている。例えば、詰め替えを目的としたボトル形容器の場合、台所用洗剤で原単位を0.050g/ml以下に、再生材・バイオマスプラスチックの合計割合を25%以上にすることなどが要件となっている。
認定を受けた製品は、国や地方公共団体、独立行政法人などが製品やサービスを調達する際に環境負荷の少ないものを率先して選ぶことを定めたグリーン購入法において、配慮の対象となる。これにより、公共調達市場での需要創出が期待される。また、認定製品を製造するためのリサイクル設備の導入に対しては、国の支援措置が講じられる。
今回公表された各基準は、公布日から6カ月を経過した2026年1月24日から施行される。
【プレスリリース】プラスチック使用製品設計指針に基づく4製品分野における設計認定の基準を公表しました
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