住友化学株式会社(以下、住友化学)は2月10日、ポリプロピレン(PP)コンパウンド事業の強化のため、ポーランドに新たな生産拠点「住化ポリマーコンパウンドポーランド(以下、SPCP)」を設立することを発表した。2022年春に商業運転を開始する予定だ。
PPコンパウンドは、PPに合成ゴムやガラス繊維、無機フィラー(※)などを添加して機能性や剛性などを向上させた材料で、主に自動車のバンパーや内装材、家電製品に使用されている。住友化学グループは、特にガラス短繊維強化PPコンパウンド(以下、GFPP)に強みを持つとしている。PPの軽量で優れた成形性とガラス繊維の高い強度や耐熱性を兼ね備える高性能な材料として、これまでバッテリーケースをはじめとした自動車部品や洗濯機のドラムカバーケースなどの家電製品向けに、世界的に拡販を進めてきた。
ポーランドや隣接するドイツ東部、チェコには多くの自動車・家電メーカーが生産拠点を有し、電気自動車の普及も伴って、引き続きPPコンパウンドは堅調な需要増加が見込まれると同社はみている。欧州における同社のPPコンパウンド生産拠点は英国とフランスにあるが、今回住友化学の子会社で英国に本拠を置く住化ポリマーコンパウンドヨーロッパの100%子会社としてSPCPを新設し、より迅速に顧客に製品納入できる体制を構築するとしている。さらに、EUのサーキュラーエコノミー政策によりリサイクル品の需要が一層高まっているため、リサイクルPPを60~100%含有するGFPPについても、英国やフランスの拠点に続きSPCPで生産を開始することでシェアを高めていく考えだ。生産能力は、年間約3万トンを予定している。
住友化学のPPコンパウンド生産・販売拠点(出典:住友化学株式会社)
同社は、今後も顧客の需要により迅速に対応するため、PPコンパウンドの生産・販売体制を強化していくとしている。
※:フィラーは充填材とも呼ばれ、機械的特性・加工性の向上やコスト低減などを目的として、樹脂やゴムなどに添加される物質のこと
【プレスリリース】ポーランドにポリプロピレンコンパウンド生産拠点を新設