フィンランドのイノベーションファンドSitraは、同国において持続可能なライフスタイルへの移行を促進するのに有効であり、より魅力的で有意義な実践につながる7タイプのモチベーションを紹介するレポートを発表した。

持続可能なライフスタイルとは、地球が持つ環境収容力の範囲内で生活するスタイルを指す。パリ協定で定義された気候目標を達成するためには、2050年までに個人の生活から排出される温室効果ガスの量を90%以上削減する必要がある。現在私たちが直面している、天然資源の枯渇と気候変動に起因する持続可能性の危機は、生活者個人が自身のライフスタイルや消費習慣を見直すことを余儀なくしている。

どのようにしたら、異なるモチベーションを持つ人達が、温室効果ガスの排出量を減らしながらよい生活を送ることが出来るだろうか。そもそもよい生活の定義は人によって異なり、環境に優しく、自然と調和して暮らすことだと考える人もいれば、喜びと素晴らしい経験だと考える人もいるだろう。本レポートの目的は、どのようなモチベーションが人々に持続可能な選択をさせるかを導くことである。レポートでは、人々が商品を購入する際により慎重に検討するようになるには、植物由来の製品の消費量を増やすには、空の旅を減らすには、またはその人が暮らす環境において積極的な役割を果たすようになるには、どのような動機付けが有効かを明確にする。また、この結果をどのように利用すると、持続可能なライフスタイルにつながる行動を増やせるのか、という問いに対する方向性の提案をしている。

モチベーションは、人間が日常生活において行う様々な選択の要因となる。人が取る行動について、選択の背後にあるモチベーションを理解することにより、気候変動や持続可能性の問題に関心が高くない人に対しても、持続可能なソリューションを魅力的に見せることも可能になる。持続可能な日常生活を送ることは、やりたいことをあきらめて退屈に暮らすことではない。それどころか、より健康で幸せになり、時間やお金の節約につながり、大切な人と過ごす時間が増えるなど、個人の価値観が尊重される魅力的な生活につながることをしっかりと伝える必要がある。また、「これを成し遂げたい」という感情だけではなく、「これを避けたい」という感情も個人に対する動機付けとなりうる点にも注目したい。そして、人間は好きなことや楽しいと感じることから動機付けられることが多いが、それは個人的な好みによるものだけではなく、社会的・文化的背景からも強く影響を受けていることを意識しておこう。

持続可能なライフスタイルへの移行は、私たちの習慣が100%好転することを意味するわけではなく、毎日の習慣を変えていけるよう、小さな一歩を踏み出すことによって前進する。地球の環境収容力の範囲内で私たちが暮らしていけるよう、さまざまな人々が最初の一歩を踏み出し、次の一歩を続けて踏み出せるモチベーションを特定することが重要である。レポートのための調査は、フィンランド国内の様々な地域に住む同国民に対して2021年3月から8月の間に行われた。完成した7タイプのプロファイルは、15の詳細な定性的インタビューに基づいて作成され、フィンランド全体を代表する定量的研究を使用して検証された。

フィンランド人にとってモチベーションとなる要素、7つの分類

レポートでは、フィンランド人全体を7タイプに分けて、各タイプにとってどのような要素が持続可能な生活を送るためのモチベーションになるのかを定義している。(カッコ内はフィンランド人に占めるパーセンテージ)

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