サーキュラーエコノミーの最先端ともいえる欧州で、建築業界はどのような変化を歩んでいるのだろうか。欧州を中心に循環型の建築業界を目指して活動する循環型建設連合(CBC)が2023年に公表した報告書から、欧州の建築業界のいまを読み取ることができる。半年におよぶ調査、50の関係者インタビューと4回にわたるワークショップを通じてまとめられた同報告書の内容を中心に、サーキュラーエコノミーへの移行に向けて奔走する欧州建築業界の現状を全3回に分けてお伝えする。

第1回は、欧州の法規制について現状と課題を整理する。2020年にEUタクソノミー規則が施行され、今年4月には建設製品規則(CPR)の改正案が採択された。これらの規制は欧州の建築市場をどのように変えようとしているのだろうか。

※本記事ではCBCによる報告書のほか関連する記事を参考に、法規制の最新情報(2024年6月)を加えて筆者の視点から欧州の現状をまとめた。

「サーキュラーエコノミーアクションプラン」が示す建設の今後

欧州でサーキュラーエコノミー移行への中核を担うのが、欧州グリーンディールの柱の一つであるCircular Economy Action Plan(サーキュラーエコノミーアクションプランまたは循環型経済行動計画:CEAP)だ。欧州の廃棄物の3分の1以上を占めるとされる建設・建築は、移行のポテンシャルが高く同計画で重視する業界の一つとして位置づけられている。

建設・建築についての行動計画は以下のように記されている。

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