国連環境計画(UNEP)はこのほど、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた近隣地域での取り組みに関するレポート「CREATING CIRCULAR NEIGHBOURHOODS」を発表した。同レポートは、都市における関係者(コミュニティ・政府・企業)がサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを近隣地域規模で始めるきっかけになることを目的としている。
UNEPと共同で同レポートを作成したのは、エンジニアリング企業の英Arup、スイスの非営利法人BASE、C40(世界大都市気候先導グループ)、英エレン・マッカーサー財団、非営利の建築事務所のマス・デザイン・グループ、メキシコシティ環境省、IPR Prague(プラハ計画・開発機関)である。
同レポートでは、主にメキシコのメキシコシティとチェコのプラハに特に焦点が当てられ、循環型建設・製品のサービス化・食品システムの3分野における近隣地域での取り組み事例が紹介された。
まずは、メキシコシティとプラハがフォーカスされた理由を紹介する。
メキシコシティとプラハに着目した理由
地方自治体は、地域コミュニティが行動を起こせるような環境を整備するという重要な役割を担っている。しかし、地方自治体はそれぞれ異なる特徴を持ち、特定の地域コミュニティを支援する方法は、各都市の文化や政治によっても変わる。こうした理由からUNEPと提携組織は、地理的に離れているだけでなく、特徴が根本的に異なるメキシコシティとプラハを選んだ。
両都市の特徴を見ていくと、メキシコシティの建築物は16世紀の植民地時代の都市化にルーツがあり、プラハには10世紀に遡る建築物がある。メキシコシティの人口は約900万人、プラハは約130万人。GDP(国内総生産)を基準にすれば、両都市とも世界で最も裕福な都市に分類されるが、メキシコシティでは経済格差が深刻な問題となっている。
同レポートで紹介された、循環型建設・製品のサービス化・食品システムの特徴と、メキシコシティとプラハをはじめとする近隣地域規模の取り組み事例は、次のとおりだ。
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