欧州委員会が2023年7月に発表した使用済自動車規則案(以下ELV規則案)の中でも注目を集めるのが再生材の最低含有ターゲットだ。再生材使用に係る法案第6条に規定されている。現在法案策定に向けた議論が進行中であるが、この条項は最も議論が分かれるものの一つでもある。

本条項は、新車に対するプラスチック再生材の使用を義務化し、最低含有目標値としてポストコンシューマー廃棄物から25%、そのうちの25%は使用済自動車由来(クローズドループ)で達成するというものだ。

EUは、サーキュラーエコノミー・アクションプラン(2020年)のもと、資源効率の引き上げと充足の推進を基盤としており、そのツールとして一分野に特化した規制により再生材使用の義務付けを行っている。ELV規則に先駆け、包装・包装廃棄物規則、使い捨てプラスチック指令、電池規則などではすでに再生材含有の目標値が設定されている。

2025年2月に策定されたクリーン産業ディールのもとでは、欧州域内に廃棄物と二次原料の市場を形成することを目的として、サーキュラーエコノミー法が2026年に導入される予定だ。そのため、今後改正・新たに導入される規制のなかでも、再生材の一定量使用を義務化する要件が検討される可能性は高く、対象となる製品がさらに増加していくことが想定される。

それぞれの規制における再生材含有ターゲットの設定は、一製品だけではなく、その製品のサプラーチェーン全体へも影響を及ぼすことになる。従って、政治家と産業界側の意見が異なる場合が頻繁に起こり、協議には時間を要することになる。包装・包装廃棄物や電池規則でも当初の予定を大きく上回る時間が費やされた。現在審議が行われているELV規則案もその例に漏れず、特に大きく意見が分かれているのは欧州議会内だ。加えて産業界でもプラスチックリサイクル業者側と自動車OEM側でも意見は分かれている。

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