地域を起点とした市民参画による資源循環システムの構築に取り組むアミタホールディングスは、市民同士の交流を促しながら資源回収を行う地域の拠点が及ぼす社会的影響について千葉大学予防医学センターとともに共同研究を進めてきた。このほど研究結果を公表し、互助コミュニティ型の資源回収ステーションを利用する人は健康への意識や幸福感が増すとともに、要介護に陥る可能性も低減することなどが明らかになった。資源循環が及ぼす環境負荷の削減効果のみならず、交流の促進を通じた利用者の健康改善を始めとする社会的な効果に着目し、数値化した国内初のケースとみられる。

両者は、日本老年学的評価研究機構と奈良県生駒市が実施した地域の通いの場効果検証事業をもとに、アミタが同市内で運営支援した互助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®」(通称「こみすて」)への参加による介護予防効果、および社会保障費の削減効果を検証した。その結果、こみすての利用者は非利用者に比べて健康への意識や幸福感が1-3割増加し、要介護リスク得点も2.5点低くなった。さらに、6年間の累積介護費用として推計で約920万円の抑制に相当することも分かった。

今回の結果について、千葉大学予防医学センター 社会予防医学研究部門 近藤克則教授は「MEGURU STATION®を利用することで健康への意識や幸福感が高い人が1~3割も増加し、介護予防効果・介護費抑制を期待できることが1年間の追跡によって明らかになりました。今後は、日本老年学的評価研究機構と生駒市が実施する効果検証事業で長期間の追跡を行い、介護予防効果についてさらなる検証を進めたい」とコメントしている。

MEGURU STATION®のようなコミュニティ単位での資源回収ステーションは、どのようにして継続的に運営していくかが課題だ。例えば、自治体の衛生費(ごみ処理費)や社会保障費(医療費、介護費)の削減につながると証明することで、削減できた金額の一部が成果になると考えれば、安定的に予算を確保できる可能性が広がるかもしれない。今回の共同研究は、こうしたモデルを全国的に定着させる上での基礎的データとしても大きな意義を持つと言えよう。

【プレスリリース】アミタHDと千葉大学予防医学センター、「MEGURU STATION®」で健康増進効果を確認 ―6年間の累積介護費用約920万円の抑制に相当―

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