旭化成ホームズ、積水ハウス、大和ハウス工業の3社は9月4日、都市部における生物多様性保全の実効性を高めるため、共同評価を実施したと発表した。この取り組みでは、在来樹種の植栽が都市緑化に与える影響を科学的に評価し、ネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せること)の達成に向けた具体的なシナジー効果が確認された。シナジー評価は株式会社シンク・ネイチャーによる分析。各社の異なる植栽コンセプトを融合させることで、個別の取り組み以上に多様性が向上する結果が示された。

都市緑化の重要性は、自然環境保護だけでなく、住環境の質の向上や、気候変動への対応策としても注目されている。旭化成ホームズの「まちもり」、積水ハウスの「5本の樹」計画、大和ハウス工業の「みどりをつなごう!」のように、3社は独自の緑化コンセプトを掲げ、いずれも都市緑化において在来樹種を活用し、持続可能な環境を目指している。

今回の分析では、首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)において各社が異なる様々な樹種を植えてきたことで、個社単位に比べて生物多様性の向上につながったことが判明。植栽樹木種の3社合計は年間で約350種430,000本におよび、最も種数の多い個社よりも約10%多い結果となった。企業が共同で取り組むことで、種数の増加や植栽樹種の均等な分布につながったことが確認された。

また、各社が異なるコンセプトで在来樹種の植栽提案を行うことで、生物多様性の多面的な要素が補完され、ネイチャーポジティブ実現に向けた企業間の共創の可能性が示唆される結果となった。今回の分析結果を受けて、生物多様性の実現に向けた取り組みを広げていくため、今後3社は住宅・不動産業界に対して働きかけていくとしている。

【プレスリリース】旭化成ホームズ、積水ハウス、大和ハウス工業3社協働 在来樹種の都市緑化でネイチャー・ポジティブの実効性とシナジーを実証
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