オランダ・アムステルダムに本拠を置くサーキュラエコノミー推進機関のCircle Economyは6月3日、「 The Circularity Gap Report the Netherlands(サーキュラリティ・ギャップ・レポート オランダ)」を公表した。

同レポートによると、オランダのサーキュラリティ(循環性)は24.5%だった。これは、年間で消費される建築・交通・食などの2億2100万トンの原材料のうち、約4分の1がバージン資源でなく二次原材料で賄われていることを意味する。今年1月に発表された「Circular Gap Report」の中で明らかになった世界全体のサーキュラリティが8.6%だったのに対し、オランダは24.5%と約3倍だ。世界経済のサーキュラーエコノミーへの移行を牽引する国オランダとしての存在が改めて浮き彫りになった。この数字は、貿易国・先進国としては極めて高いといえる。

一方で、オランダが掲げる2050年までにサーキュラリティ100%を達成するという目標からは75.5%のギャップがあり、リニア型の仕組みからの脱却には長い道のりがあることを意味する。

今回の調査結果によると、次の領域においてサーキュラーエコノミー移行を強化することで、オランダの国としてのサーキュラリティを3倍に押し上げられ、1億2800万トンを超える資源消費を抑えることにつながるという。

先進的な建築

  • 崩さない(崩さないで、解体する)
  • 循環させることで新しい資源を採掘しない

循環型農業

  • 食品ロスをなくし、不要になる有機性資源に新たな使い道を
  • 畜産物や家畜の飼料の輸入を停止

化石燃料から再生可能エネルギーへ

  • 化石燃料の輸入を停止
  • 再生可能エネルギーへの移行

修理・再製造・リサイクル

  • 修理慣行の拡大による修理経済を加速
  • リサイクル経済を加速

また、これらの改善策を実施するためには購買専門家、建築プロジェクトコーディネーター、土づくり専門家、地元の修繕工などの分野で労働力を確保することがカギとなる。

サーキュラーエコノミーへのギャップを埋めることは、オランダが国として2050年までに100%サーキュラーエコノミーに移行するという目標達成のためだけでなく、新型コロナ危機からの「Build Back Better(より良い復興)」のための重要な機会ともなる。

Circle Economyのグローバルアライアンスを統括するMarc de Wil氏は同レポートの中で次のように述べている。「オランダはサーキュラーエコノミーにおけるフロントランナーであるものの、すべての資源が完全に循環する経済を完成させるにはまだまだ多くの課題があります。このまま資源消費のスパイラルが続けば、さらなる地球規模の災害が発生する可能性が高まります。オランダにとっては国家としてより良い未来のために進む手本となるチャンスです。新型コロナ危機は、これまでにないほどリニア型の仕組みの脆弱性を露わにしています。レジリエントで将来を見据えた経済が必要とされています。行動を起こすときは今しかありません」

深刻化する資源の枯渇と激甚化する気象災害、人口増加の中、私たちに残された時間は少ない。誰も達成したことのないサーキュラーエコノミー完成という目標達成のため、試行錯誤しながら世界の最前線を走るオランダの取り組みから私たちが学ぶことは大きい。オランダの動向を注視しながらも、日本でできることは何かを考え、取り組んでいきたい。

【参照レポート】The Circularity Gap Report the Netherlands(サーキュラリティ・ギャップ・レポート オランダ)
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