Circular Economy Hubでは、サーキュラーエコノミーの実現を目指す国内外のさまざまな動きを発信している。そもそもサーキュラーエコノミーとはどのようなもので、実際の社会に適応されるとどのように機能するのかーー。サーキュラーエコノミーについて理解を深めるため、筆者はエレン・マッカーサー財団が10週間にわたって提供するオンライン学習プログラム「From Linear to Circular: Open to All」に参加している。そこで得た学びを、毎回レポートする。

※本レポートは、エレン・マッカーサー財団に許可を得た上で、講義内容等を掲載したものです。

これまでの講義レポートはこちら

第1回「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?
第2回「サーキュラーエコノミーのためのデザイン
第3回「循環するビジネスモデル
第4回「次の段階のサーキュラーエコノミー
第5回「プラスチックのサーキュラーエコノミー
第6回「サーキュラーエコノミーと都市~建築、交通、食糧システムを変える~
第7回「ファッションのサーキュラーエコノミー

コーヒーに木陰が必要な理由

「あなたは一日コーヒーを何杯飲みますか?」

エレン・マッカーサー財団で食のサーキュラーエコノミーを統括し、今回のゲストスピーカーでもあるEmma Chow氏(以下エマ)は参加者に問いかけた。

1杯、と答えた人が大部分だろうか。2杯〜3杯の人も多く、なかには5杯以上と答える人もいた。

それでは、朝の心安らぐひとときに欠かせないコーヒーが、一体どのような道のりをたどってあなたのお気に入りのマグカップに収まっているのか考えたことがあるだろうか。知っているようで、知らない人も多い。その道のりは長いからだ。食のサーキュラーエコノミーを考えるため、コーヒーの道のりを一緒にたどってみよう。

そもそもコーヒーとは、コーヒーの木になる果実の中にある種子を取り出して焙煎し、粉に挽いて淹れたものだ。このコーヒーの木は、熱帯地域の農園で育てられる。現在多くの場合、コーヒーの木は「太陽にさらして育てた」という意味のサン・グロウン(Sun-grown)という方法で育てられる(下図真ん中)。サン・グロウンと聞くと、日光をさんさんと浴びて育った、健康的な印象を受けるが、実はその真逆だ。

サン・グロウンの手法とは、そこにあった豊かな熱帯林を焼き払い、大規模な単作栽培をすることだ。リニア型のコーヒー栽培方法で、生態系に負荷をかけ、破壊してしまう。その土壌で一種類のみの植物を育てると、生態系は循環せず、土は痩せていく。それでも育てるためには、限りある資源である石油をどこかから採掘してきて、化学肥料や農薬に加工し、土にまく必要がある。

本来、人が手をつけていない自然の中では、さまざまな種類の木々や草花が生い茂る。多様な植生は多様な昆虫や鳥、動物の住処となり、栄養がすみずみまで循環する。こうして長い年月をかけて肥沃な土壌と豊かな森が作られる。

サン・グロウンコーヒーに対して、伝統的な栽培方法にシェイド・グロウン(Shade-grown)というものがある(上記図右)。これは自然の生態系をできるだけ壊さないように、熱帯林の中でコーヒーを栽培する方法だ。豊かな森の中でコーヒーの木を育てるから、さまざまな種類の背の高い植物が生い茂り、コーヒーの木の上で自然の天蓋を作ってくれる。コーヒーが太陽にさらされることなく、木陰の中で育つことがこの名前の由来だ。この考え方はアグロフォレストリー森林農業などとも呼ばれる。

この農業の素晴らしいところは、石油由来の資源を使わなくても土壌が豊かに保たれ、多様な生物が繁栄するということだけに留まらない。植物が光合成をして成長する過程で、大気中からCO2を吸収し、それを根を通して土壌に戻す炭素隔離(carbon sequestration)が起こる。これは食料システム自体を、生産の過程で吸収されるCO2の量が排出量を上回るカーボンポジティブにすることをも可能にする。コーヒーを栽培しながらも、気候変動を和らげることができるのだ。さらに、アグロフォレストリーは農園で働く人々を自然災害から守り、営む農業そのものをレジリエントにしてくれる。

コーヒーの実は、コーヒーチェリーと呼ばれる。きれいな果実だが、私たちの多くは、畑に実るコーヒーチェリーを見ても飲み物のコーヒーを連想できない。毎日コーヒーを飲んではいるものの、カフェやスーパーマーケットには焙煎された中身しか並ばないからだ。実際には種子よりもそのまわりの果実の部分の方が多いのに、果実が使われることはない。

それでは、このチェリーのうち、実際にコーヒーという飲み物に使われるのはどのくらいなのだろうか。コーヒーチェリーのうち、コーヒーに使われるのはたったの0.2%だ。残りの99.8%は廃棄される。香りと少しの味だけがコーヒーになり、ほとんどの栄養分は捨てられている。せっかくエネルギーを使って、資源を使って育てたのにも関わらず、だ。農園ができることといえば、堆肥などによる生分解を経て、有機肥料としてこの果実を農園の土に還すことなどくらいだ。

コーヒーの道のりはここで終わらない。焙煎される過程でさらに廃棄が発生し、その後コーヒーとして消費された後には、コーヒーかすがごみになる。

しかし、これらはすべて有機資源であり、捨てられなければ廃棄物ではない。栄養素を含む、価値ある有機資源だ。視点を少し変えれば、この栄養素に富む材料には無数の使いみち、そしてビジネスチャンスがあることに気づくだろう。

(例)デンマークのKaffe Bueno

例えば、デンマークのKaffe Buenoは、コーヒーかすをアップサイクルして粉をつくる。グルテンフリー・カフェインレスでタンパク質を豊富に含むコーヒー粉は、パンやケーキ、パスタなどの材料として使うことができる。

(例)デンマークのBeyond Coffee

同じくデンマークのBeyond Coffeeは、コーヒーかすからマッシュルームを育てる。廃棄されていたものを栄養として、リジェネラティブ(環境再生的)に新たな食物を育てることができるのだ。石油資源を使わない方法を探すことは、より広い生物経済を形作ることにつながる。

(例)スペインのエコアルフ

スペイン発のファッションブランドエコアルフは、廃棄からファッション向けの生地を作るS.Café®と提携し、コーヒーの有機物からジャケットなどの製品を作っている。

コーヒーの道のりは、まだ終わらない。廃棄しているものからデザインして終わりではないのだ。廃棄からデザインしても、その製品が不要になった後、リニア型に廃棄されては意味がない。廃棄からデザインして、それがその先も循環していくように考える必要がある。

その先の循環が考えられたとき、長期的にうまく機能する食のサーキュラーエコノミーが現実のものとなる。

長期的にうまく機能する食のサーキュラーエコノミーとは、すべての人が栄養のある食事を毎日取ることができ、自然の生態系に沿っており、規模問わずすべてのビジネスが繁栄できる仕組みだ。そして、食のサーキュラーエコノミーに欠かすことができないのは、多様性だ。農園の多様性、私たちの口に入る食品の多様性、そして、仕組みに関わるすべてのビジネスの多様性も、すべて欠かすことができない。

リニア型の食料システムがもたらす2つのコスト

食の仕組みを変えることは、地球温暖化を抑え、都市を健康に保ち、生物多様性を再構築するために私たちができる最も効果的なことのひとつだ。現在の食料システムは、激増する人口に伴う都市化と経済成長を支えてきた。この仕組みは高い経済的「生産性」を支えてきたが、これは社会と環境を犠牲にすることで成り立ってきた。今日のリニア型の食料システムの中で、私たちは1ドル使うごとに、2ドルの社会的・環境的コスト(犠牲)を払っているのだ。

コストの半分は、現在の食料システムの副産物として生み出される、微量栄養素の欠乏や肥満などの問題によって、人の健康が損なわれることによる社会的なコスト。そしてもう半分は、リニア型の食料システムの中で、限りある資源が採取され、ごみになり、汚染し、自然の仕組みに負荷をかけることで発生するコストで、年間約624兆円にも上る。

下記の図は、大量の廃棄と汚染を生み出し続ける今日のリニア型の食料システムを表したものだ。

リニア型の食料システムにより、人々は環境負荷の大きい農業を加速させた結果、世界全体で毎年3,900万ha(ジンバブエ一国分ほどの面積)の土壌が劣化し続け農業が行えない状態になり、世界に必要な水の70%が使われる。

現在、今この瞬間も、1秒ごとにトラック6台分の食料が捨てられている。都市部では、食料品や人々のし尿に含まれる栄養のうちたったの2%しか有機資源として再利用されず、残りはすべて埋め立てか焼却処分される。また、より良い食料を生み出せるようになったはずの今日、この食糧によって人々の健康が蝕まれている。このまま方向転換をしなければ、現在の食料生産の仕組みが引き起こす大気汚染、水質汚濁、殺虫剤や化学肥料、家畜への抗生物質の過剰投与による健康被害などにより、2050年までに年間500万人の命が絶たれるという試算まで出ている。

採取・製造・廃棄からなるリニア型を脱するには、サーキュラーエコノミーの原則を用いて食料システムを再考する必要がある。

都市・大手企業から始まる食品業界の地殻変動

食料システムにおいて、都市部が担う役割は大きい。エレン・マッカーサー財団の調査によれば、2050年までに食糧の80%が都市部で消費されることになる。大きな需要が見込まれる一方で、今日の都市は、ブラックホールのように大切で有限な栄養を吸い上げ続けている。都市に流れ込む大量の食料は、有機「ごみ」へと変えられ、廃棄され、環境に負荷をかける。

もし、都市がその購買力を使ってより良い自然再生型の食料のしくみに投資できたら。
もし、生産を消費に近づけることができたら。
もし、デザインによって廃棄という概念を取り払うことができたら。

せっかくの人と経済・文化・イノベーションの中核地という、都市部ならではの特徴があるのだから、これを生かして食料システムの仕組みそのものから変えていくことができるはずだ。都市から変えていくことで、ポジティブな波及効果で農園までを一気に変える。食料システムを自然再生型・循環型のものに変えることができたなら、2050年までに約300兆円に値する経済的価値と健全な環境をもたらすとされる。

食のサーキュラーエコノミーが完成すれば、有機資源は都市をハブとして生産地と消費地を循環する

食料システムのおもしろいところは、他の資源とは異なる性質を持つところだ。食は、文化・アイデンティティ・気候や風土・土壌の特性など実に多くの要素から形作られる。

現在すでにロンドン・サンパウロ・ニューヨークなど、多くの都市が食料システムを変えるために動き出しているが、都市によって目指す循環食料システムの解釈は変わってくる。それぞれの都市で、環境再生型農業を営むとはどういうことなのかが驚くほど異なるのだ。その都市にとっての価値とは何かを見つめながら進めなければならない。ある都市にとって価値のあることでも、他の都市にとっては全く違った意味合いになることがあるからだ。

都市型農業を行うことで、その都市で消費される食料を賄うことができるのかという点については、さまざまな意見がある。エレン・マッカーサー財団が調査したところ、垂直農法(vertical farming)や屋内での養殖や水耕栽培を組み合わせた都市型農業だけでは、人間の健康に必要な栄養のすべてを補うことができないことがわかった。しかし、この都市型農業を、近郊農業と合わせて行うとどうだろう。都市は近郊地域から多くの食料を調達することができる。

実際、現在すでに世界の農地の40%は都市部から20km圏内に位置している。都市部は、近郊地域でどのような作物が栽培されているか理解することで、今後多く導入すべき食料の種類や性質を知ることができる。そして、その土地に適した品種を選び、季節性のある食物を育てることで、食物や農地自体の生態系の多様化を図り、高いレジリエンスを持った食料システムを再構築することができる。都市はそこに住む住民と食料、生産者とをつなぐことで、人々は地元の環境と自分たちの健康について考えるようになり、地元産の環境再生型食品を選ぶ傾向が強くなるという。

同時に、都市はすべての食料を都市近郊地域から調達するのではなく、食料の種類に応じて、一部は世界の多様な地域も供給源として食料システムを形成することが望ましい。なぜならば、強い台風などで農地が被害を受けた場合、食料を供給するすべての農地が一箇所に固まっていては非常にリスクが高いからだ。

都市は再分配のハブとして機能する

サーキュラーエコノミーで、食料は循環するため、ある企業が使わなかったものは他の企業にとって資源として使われる。都市は、余った食料や有機資源を再分配し、新しい食料品や製品に変えることで、その価値を余すことなく、そしてごみにすることなく最大限に活用することができる。

都市は、食品の最終目的地ではなく、新たな技術やイノベーションによって価値ある素材に生まれ変わる中心地になるのだ。これまで廃棄されていたものは、有機肥料や有機資源、医薬品やバイオ燃料などさまざまなものに生まれ変わり、経済の中で新たな収益源を生み出すことができる。

それでは、そこで経済活動を行う企業にとってはどうだろうか。環境再生型でサーキュラーな生産方法に切り替えられたとしても、大規模化できなければ現在のビジネスの仕組みに対して競合優位性という点で劣りはしないのだろうか。

そんな問いを一蹴するような地殻変動が起きている。この数年でアメリカ大手食品会社を中心に、リニアから環境再生型で循環する食料生産へと切り替える動きを見せ始めたのだ。アメリカの食品大手ゼネラルミルズはその代表格で、環境再生型の食料生産を大規模に行うことができることを証明した。ゼネラルミルズは自然保護団体らと協業し、オートミールなどのブランドの移行を開始。農家らへの教育も行う。2030年までにはすべての生産を環境再生型へと移行する計画だ。農家や関連企業などへ明確なメリットを教えながら、関係性を紡ぎながら進めていく。

人々が口にする食料の多くを提供する大手食品会社は、企業が動く意義は大きい。また、これだけ大量の食料を作る企業もまた、長期的に経済活動を続けるためには環境再生型の仕組みにシフトする必要性に迫られているといえる。なぜならば、土地が痩せてしまっては農業を続けられないからだ。土壌はある種電池のようなもので、土壌中の養分を使い果たしてしまえばもう食料を育てることはできない。長期的に利益を生みだすことを考えるならば避けては通れない道で、社会的・環境面でのメリットもついてくる、という方が正しい表現かもしれない。

ここで、一点言及しておきたいことがある。自然再生型の農業にシフトすることを、「昔の方法」に戻ると表現する人がいるが、厳密に言うとこれは正しくない。かつての農業からなる食料システムだけでは、今後30年で100億人にまで増える人口に安全な食料を行き渡らせることは困難だからだ。しかし、デジタル技術を用いることで、昔の農業の良い機能を最大化することはできる。化学肥料や農薬がなかったころの考え方を、デジタル技術と現在までの人類の知識と合わせることで大規模化させることができるはずだ。

選ばれる食品デザインのために

企業にとって、実際に消費者に選んでもらい、経済的にも繁栄していくためには、食品のサーキュラーデザインが鍵を握る。飲食店やスーパーマーケットにならぶ食品はすべてデザイン(設計)されている。食べ物がデザインされているといってもあまりぴんとこないかもしれないが、服がデザインされていることとあまり違いはない。どのように農地で作られ、運ばれ、加工されて最終的な商品として並べられ、選ばれ、食べられた後廃棄されるか、という一連の流れは、すべてデザインである。顧客に選ばれる、という意味での魅力的な商品デザインと、顧客とのコミュニケーション&マーケティングも非常に重要な役割を担う。

スウェーデンの植物性ミルクを作るOATLY!における、デザインとマーケティングの例を紹介したい。

(OATLY!に限らず)もともと植物性ミルクとは、アレルギーなどで牛乳を飲めない人のためのものだった。買える場所も限られており、一部のオーガニックスーパーの端の棚にしか置かれていないような存在だった。OATLY!のマーケティングが素晴らしかったのは、牛乳アレルギーの人でも飲める点や、環境負荷が軽減される点だけを競合優位性と認識しなかったところにある。

ポップで目を引くデザインのパッケージを採用し、当時牛乳よりも味が劣るとして見られていた植物性ミルクの味が、素晴らしくおいしく栄養価が高いことをさまざまな方法で伝えた。こうすることで、おいしくて栄養価の高いおしゃれな飲み物を求めるすべての人に訴求することにつながり、急速に多くの人に選ばれるものへと変わっていった。写真のような、建物のストリートペイント風広告などもポップで遊び心があり、多くの人の関心を集めた。OATLY!だけでなく、多くの食品メーカーが植物性ミルクを製造しており、今ではヨーロッパのどのカフェやスーパーにも置かれ、世界では1兆7000万円規模の市場へと広がっている。

食のサーキュラー化へ2000人で議論

すべての人が身近に感じる「食」がテーマの今回、参加者からは今まで以上の熱量で多くの議論が起こった。その一部を紹介しよう。

質問:もっと地方の生産者をサポートすべきでないのか?

地方の生産者の多くが、より環境再生型で循環する手法で食物を生産するのは確かだ。そして、彼らの多くが小規模での農業を行っており、サポートを必要としていることもある。食の多様性や生産される地域の多様性を保つ意味でも、生態系はつながっているという意味でも、地方の生産者が重要なことは間違いない。

しかし、より早急に変化を起こさなければいけないのは都市近郊の生産者ではないだろうか。現に近郊農業によりすでに40%の食料が生産されており、今後都市近郊での生産量を上げていく中で、リニア型からサーキュラー、環境再生型のシステムに切り替えていければ、大きな変化をもたらすことにつながる。都市から一方的に消費される地方ではなく、廃棄されているものをどのように堆肥や有機肥料などとして栄養素に還元し、地方を含めて生産地に戻していけるかが重要なのではないだろうか。奪って消費する存在としての都市ではなく、都市を中心とした広い地域の中で、満たし合う関係性を紡いでいくことが必要なはずだ。

質問:過剰生産された食べ物を集めて活用する「食品ロス」対策は、食料システムの根本的な解決策にはならないのではないか?

サーキュラーエコノミーの原則には「廃棄をなくすデザイン」がある。したがって、再分配しなければいけない過剰な量を作らない仕組みが求められる。一方で、過剰分を再分配し、利用する取り組みは一時的な解決策として重要だ。現在の経済の仕組みは、貧困や飢餓などの問題も生まれている。これらの問題と、過剰な食料が廃棄されている問題を同時に解決する手法として、一時的には有用であり、その間に根本的な解決策を模索しなければならない。

質問:世界的に肉食が課題視されているが、実際どうなのか?

現在大規模に行われているリニア型の食肉供給システムは、多くの人の食料を奪い、飢餓を引き起こし、環境にさまざまな負荷をかける。これは事実だ。しかし、サーキュラーエコノミーを実現するにはヴィーガンでなければいけないかというと、これはそうではない。

本来、家畜は環境再生的な仕組みの一部のはずだ。しかし今日では環境再生型手法で生産される食肉は全体の10%にも満たず、残りはリニア型の仕組みで工業的に育てられ、流通する。つまり、問題なのはリニア型で工業的に肉が生産される仕組みのはずだ。

定期的に場所を変えながら牛などを放牧すると、実際に牛が大気に放出するメタンよりも、排泄物などを通して炭素を還元することによってカーボンポジティブとなることがわかっている。カリフォルニア州などでは環境再生型農業の施策の一部として切り替える動きがあるほどだ。

牛などが土を耕し、栄養素を土に戻すことで、耕うん機で耕す必要がなくなるなど、自然本来の力に任せることができるようになる。重機も石油や金属から作られ、石油をエネルギーとして動くため、これらが不要になることも大きい。日本では合鴨農法という水田で稲とカモなどを同時に育てる循環型の自然共生農業の一種が行われているが、これは非常に良い例だ。カモが稲につく虫を食べてくれるから農薬をまく必要もない。

先ほど紹介した植物性ミルクについても、同じことがいえる。動物由来だから悪い、植物由来だから良い、という話ではない。環境再生型の仕組みで作られた牛乳は、リニア型の仕組みで作られた豆乳ミルクよりも良いはずだ。動物由来の製品をすべて悪だとするのではなく、どのようにしたら環境再生型に変えていけるかを考えるべきである。

エレン・マッカーサー財団のオンライン学習プログラム「From Linear to Circular: Open to All」第8回は食というテーマで行われた。次回は、Circulyticsのテーマについてレポートする。

これまでのレポート

第1回:「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #1
第2回:「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #2
第3回:「循環するビジネスモデル」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #3
第4回:「次の段階のサーキュラーエコノミー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #4
第5回:「プラスチックのサーキュラーエコノミー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #5
第6回:「サーキュラーエコノミーと都市 ー建築・交通・フードシステムを変えるー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #6
第7回:「ファッションのサーキュラーエコノミー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #7

【参照サイト】Kaffe Bueno
【参照サイト】Beyond Coffee
【参照サイト】エコアルフ
【参照サイト】S.Café®
【参照サイト】OAT-LY!
【参照サイト】Greater profits for the farm powered by symbiosis
【関連記事】エレン・マッカーサー財団、サーキュラーエコノミーの無料オンライン学習プログラムを提供開始