Circular Economy Hubでは、サーキュラーエコノミーの実現を目指す国内外のさまざまな動きを発信している。そもそもサーキュラーエコノミーとはどのようなもので、実際の社会に適応されるとどのように機能するのかーー。サーキュラーエコノミーについて理解を深めるため、筆者はエレン・マッカーサー財団が10週間にわたって提供するオンライン学習プログラム「From Linear to Circular: Open to All」に参加している。そこで得た学びを、毎回レポートする。

※本レポートは、エレン・マッカーサー財団に許可を得たうえで、講義内容等を掲載したものです。

これまでの講義レポートはこちら

第1回「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?
第2回「サーキュラーエコノミーのためのデザイン
第3回「循環するビジネスモデル
第4回「次の段階のサーキュラーエコノミー
第5回「プラスチックのサーキュラーエコノミー
第6回「サーキュラーエコノミーと都市~建築、交通、食料システムを変える~」

ファッションの現在地からサーキュラーエコノミーを考える

講義の冒頭、参加者にクイズが出された。

クイズ:次の1〜3について、正しいでしょうか、誤りでしょうか。あなたの予想を答えて下さい。

  1. この15年で、洋服の生産量は2倍になった一方で、1着あたりの利用は40%に減った。
  2. 世界では、1分ごとにトラック1台分の服が埋め立て処分されている。
  3. 世界で生産される化学薬品の4分の1が、ファッション製品の生産に使われる。

あなたはどう思うだろうか。読み進める前に一度考えてほしい。

ファッション業界はリニアエコノミーの典型

先ほどのクイズの答え合わせをしよう。

1は、正解だ。この15年で、衣服の生産量は2倍になり、一方で1着あたりの利用は40%に減った。

2は、誤りだ。世界では1分毎にトラック1台分の服が埋め立て処分されているのではなく、1秒毎にトラック1台分の服が埋め立てている。そう、今この瞬間も。

3は、世界で生産される化学薬品の4分の1がファッション製品の生産に使われる。これも、残念ながら正解だ。

毎日私たちが身を包む衣服とは、日常において最も身近で、世界経済の中でもファッション産業は重要なセクターの一つだ。ファッション産業は世界で14兆円規模の産業であり、バリューチェーン全体でおよそ3億人を超える雇用を生み出している。コットンの生産だけで、低所得国の雇用の7%をも担う。生産される繊維のうち、60%は衣服の製造に使われている。

世界的な中間所得層の増加と先進国経済での一人当たりの消費量が増えたことから、衣服の生産量はこの15年ほどで約2倍に増えた。同時に、1着当たりの利用は40%減った。消費量の増加と服の使用率の低下は、服を頻繁かつ大量に買うことを促す「ファストファッション」化によるもので、新しいスタイルが生まれるペースが上がり、年間に売り出されるコレクションの数が増え、価格は安くなった。下図がそれを表している。

ファッションは最もクリエイティブな産業であると同時に、国連の統計によると、2番目に多くの汚染を生みだす産業だ。世界中のファッション産業が生みだす二酸化炭素排出量は、世界中の空を飛び交う飛行機と海を行き交う輸送船すべてを足したものよりも大きい。

ファッションを生産・分配・廃棄する今日の仕組みは、完全にリニア型だ。大量の再利用できない資源を採掘し、衣服を生産し、ほんのわずかな期間しか着られず、その資源はほぼすべてが埋め立てられるか焼却処分される。生産されるファストファッションのおよそ半分は、1年も着られずに捨てられている。この仕組みは、資源がもつ経済価値を活用することなく、自然環境と生態系を汚染し、地域や世界レベルで社会に多大な悪影響をもたらしている。

ファッション産業の「致命的な」2つの課題

ほとんどの服が着られないまま捨てられる

低所得国では衣服の利用率は比較的高いものの、それ以外の地域では非常に低い。例えば、アメリカでは、世界平均の4分の1ほどの回数しか服は着られずに捨てられている。世界全体ではまだ着られる服が大量に捨てられており、価値にして年間約50兆円分が捨てられていることになる。ほとんどの服が7回から10回程度しか着られずに捨てられる。大量に生産され、不要になった服の中で、新たな服へとリサイクルされるのはたった1%にも満たない。12%はカスケードリサイクル(ダウンサイクル)され、断熱材やモップなどに生まれ変わるものの、その資源としての価値は大きく損なわれる。

大きすぎる環境負荷

繊維産業は再利用できない資源に依存している。合成繊維を作るためには石油が使われ、綿を栽培するために大量の石油由来の化学肥料が使われ、繊維や生地を生産・染色するために大量の化学薬品が使われる。これらの工程で使われるすべての再生できない資源、すなわち枯渇資源を合わせると、年間9800万トンにも上る。ほとんど利用されず、リサイクル率も限りなくゼロに近いため、現在のファッションは資源を際限なく採取し続け、環境を破壊することで成り立つリニア型の象徴でもある。

環境が破滅へ向かうシナリオ

ファッション産業がこのまま進む方向を変えなければ、私たちはさらに多くのものを失うことになる。2050年までに衣服の総生産量は今後の3倍となる16億トンを超え、石油採掘・使用量も3倍増の3億トンを超える。気温上昇を2℃以内に抑えるというCO2排出量目標のうち、26%以上の二酸化炭素を排出してしまうことになる。現在のリニア型で、廃棄の多い仕組みから脱却し、(本来気温上昇は1.5℃以内でなければそれでも多くのものが失われるものの)なんとしても平均上昇を2℃までに抑えなければならないにも関わらず…だ。

循環型ファッションを目指して

これまでのファッションを取り巻く仕組みから脱却して、新しく循環する産業へと変えていくためには何が必要なのだろうか。大前提として、サーキュラーエコノミーの3原則を用いて、再生できるような設計で、ビジネス・社会・環境に利益をもたらすものでなければならない。新しい仕組みの中で、衣服や生地、繊維は最大の価値を保ったまま使われ続け、循環し、廃棄にならない。ファッション産業を循環型へと再構築できれば、61兆円を超えるビジネスチャンスがもたらされると予測される。それでは、その循環するファッションの仕組みとは、どのような特徴をもつのだろうか。

ファッションのサーキュラーエコノミー6つの条件

①高品質・手頃な価格・一人ひとりに合わせた服

すべての人が必要なときに、必要な量の衣服にアクセスできる。新しいビジネスモデルによって、顧客は自分が着たいと思い描くぴったりの服を着ることができる。また、従来の購入・所有モデルでは手の届かなかった質や価格の服にアクセスすることができるようになる。設計・製造される服は高品質で、耐性が高く、多くの機能を柔軟に提供する。例えば、個人の好みや大きさに合わせて作られ、気分や好みに合わせてカスタムできるデザインになっている。

②利用中・利用後も価値を損なわない

循環するファッションの仕組みの中では、1着当たりの着用頻度や回数は増え、価値は最大限に活用される。そして役目を終えてもう使えない状態になると、リサイクルされ、価値を損なわないように資源に戻され、新しい服へと生まれ変わる。着られなくなった服が価値を失わず資源として再利用されるには、設計段階でリサイクル過程を考慮する必要がある。

③再生可能エネルギー・再生可能資源のみを用いる

再生可能エネルギーによって仕組みは機能し、新たな資源が必要な場合は再生可能な資源を用いる。何度も利用できる資源を動力とすることで、原材料への依存を減らし、仕組みとしてのレジリエンスを高めることができる。再利用できる素材の繊維を使い、(綿などの栽培には)化石燃料から作られる化学肥料や殺虫剤は使わない。また、再生可能エネルギー・再生可能資源のみを用いつつも、これらの利用も最小限に留めなければいけない。

④本来のコストを価格に反映する

旧来型のファッション産業は、資源の採取と加工などにかかる費用しか価格に反映してこなかった。生産することで環境や社会に与える負の影響もコストとして価格に反映することで、企業はその影響をプラスのものに変えるところまでを自社の責任とする。

⑤自然の仕組みを模す

再生可能資源は自然から再生・回復できる方法で採取され、自然資本は増える。コットンなどの生物資源は、再生的な農業で育てられ、持続可能な方法で森を管理することで木製の繊維を取り出す。有害な物質は自然に流れ出たり、繊維・生地を作る人や着る人の健康を害することはない。プラスチック・マイクロファイバーが環境や海に流出することはない。CO2などの汚染物質は発生しないよう、最初から考えて設計される。

⑥すべての人に恩恵をもたらす

大量に作ってから流通させ、無理に売るのではなく、事業が繁栄するエコシステムの一部として、価値ある製品を広く利用できるよう機会を提供する。製品の価値が循環することで、そのエコシステムを形作る事業や働き手たちは恩恵を受ける。

サーキュラーファッションを実現する3つのヒント

ファッション産業をサーキュラー型に移行し、そのうえでビジネスとして顧客にも社会にも、環境にも愛されるものにするには、無視できない重要な視点がある。より質の高い衣服をデザインして生産し、新しいビジネスモデルによって人々がその服にアクセスできるようにすることだ。そうすることで、ファッションとは使い捨てのものではなく、長く大事に使うものだと認識するようになる。今日のファッション業界には、サブスクリプションサービス、洋服のレンタル、利用者間のシェアリングなど様々なサービスが数多く生まれている。これらの中から、ファッション産業のサーキュラー化において特に重要なヒントを紹介したい。

①衣服が何度も利用される

サブスクリプション&レンタルのビジネスモデル

レンタルモデルは、新しく服を生産するという需要を下げつつも、顧客が幅広い服へとアクセスできるようにする。

短期間のレンタルモデルは、常に変化する顧客ニーズを捉えた理にかなったサービスだ。一日二日しか着ない服や、好まれるスタイルが変わり続ける中で、都度買って捨てる必要がなくなる。たまにしか着ない服のために膨大な量の服をクローゼットに収める必要もない。良い例として、高品質のデニムをレンタルモデルで提供するMUD Jeansや、ベビー服のサブスクリプションCircosなどがある。

例)Rent the Runway

Image via Rent the Runway

アメリカに本社を構えるRent the Runwayは、女性向けファッションを無制限に提供するサブスクリプションサービスだ。同社は「ファッションレボリューション」と呼んで、女性をエンパワーし、自信に満ちた毎日を過ごしてもらうことをビジョンとして掲げる。10年ほど前の立ち上げ期から人気に火がつき、数々の資金調達を受けながらサービスのイノベーションと改善を続け、今では時価総額1000億円超のユニコーン企業へと成長した。オンラインで借りられるものの、ファッションライブラリーとして機能する実店舗へ行って服を受け取ったり、次の服を探したり、返却したりといったことも可能だ。

高い耐久性は、価値を最大化する方法とともに提供する

ファッション産業のサーキュラー化を進めるのに重要なレンタル型や中古販売型のビジネスは、近年広く採用されているビジネスモデルだ。このビジネスモデルにおいて重要なのは製品が高品質で、耐久性が高いことだが、情報が行き届かないことで顧客が正しい判断をできないことが多い。

例えば、高品質で耐久性が高い製品は、利用者が飽きて使わなくなってはせっかくの資源が無駄になる。このため、形を変えたり、付属品をつけたり外したりすることで、カスタマイズを可能にすることが理想的だ。また、使われなくなった場合にも製品が価値を失うことなく売れる、ということもきちんと認識されるべき事実だ。さらに、売るのではなくずっと長く利用したいと感じる顧客には、ケアの方法を教え、推奨すべきだ。

一方、もうひとつの問題は、今現在ファッションの耐久性を評価するための業界基準が存在しないことだ。明確で統一された品質表示や保証をすることで、透明性を高められる。特に、コート・ジャンパー・ジーンズ・Tシャツ・靴下・腰巻・下着などのベーシックアイテムにおいて高品質の製品を求める顧客が多い。これらのアイテムは世界で生産される衣料品の64%を占めており、多くの人が耐久性を求めるアイテムだ。生地が擦り切れたり、落ちにくいシミができたり、発色が悪くなったりするまで着用する人が多い。

中古ファッションを、より広く一般的なものに

市場に出回っている衣類の平均的な品質と耐久性が向上するにつれ、新しいビジネスモデルにより、その価値を逃さずビジネスチャンスに変えることが可能になる。ファッションアイテムの再販・中古販売モデルはすでに世界中で広くみられるビジネスの形だ。

アメリカの古着の大手売買サイト「threadUP」が2019年に発表したレポートによると、アメリカではファッションの再販は過去5年間で小売販売と比べて21倍のスピードで成長した。2018年に実際5600万人の女性が古着を購入しており、前年2017年の4400万人から1000万人以上増えた計算だ。

最近は、環境への負荷を考え、衣服の耐久性を高め生産する動きが広がるなか、(中古で販売されるとき、新品よりも価格が抑えられるため)再販モデルでより幅広い顧客層に働きかけることができ、服の利用率を大幅に高めることが期待される。このためには再販モデルやパートナーシップ、デジタル技術の効果的な活用が重要となる。イギリスのハイブランド、ステラ マッカートニーとTheRealRealのパートナーシップ、ReformationとthredUPのパートナーシップなどは、協業の非常に良い例だ。

例)TheRealReal

Image Via TheRealReal

アメリカのTheRealRealは、中古の服・ジュエリー・時計・ファインアート・ホームインテリアなどのラグジュアリーアイテムを提供するオンラインマーケットプレイスだ。

②安全で再生できる資源を使う

ファッションに用いる素材を正しく選ぶことは、その製品が循環するかリニア型に消費されてごみになるかを大いに左右する。一見良いように見えても循環を阻害したり、環境や社会にとって負荷になったりする素材もある。素材が作られる工程でどのような副産物を生んでいるかを見極め、選ぶことが重要となる。

自然素材≠安全で環境に良い

私たちは、自然由来の素材を使っていると聞くと、きっと環境に良いファッションなのだと考えてしまう。しかし、これは必ずしも正しいわけではない。例えば、コットン。コットンは食品ではないので、多くの場合、野菜などよりもずっと多くの化学肥料や農薬を使用して栽培される。この化学肥料が環境や生物、私たち人間の健康に及ぼす影響を考えてみよう。コットンという素材を使っているから必然的に環境に良いというわけではないことがわかる。選ぶのであれば、化学物質を使用しないオーガニックコットンを選びたい。しかし、オーガニックなどの素材でも、製造過程で大量の化学薬品を使って加工される場合が多い。ブランドは、顧客に対してきちんと製造工程を明らかにし、化学薬品から汚染を引き起こしていないことを示すことが重要だ。

例)ケミカルリサイクルを可能にしたLenzing Tencel

Image via Tencel

Tencelは、森が成長し、成熟することを可能にするゆっくりとしたスピードでのみ木を採り、その素材で「リヨセル」という繊維を作る。この繊維を作るときに使う化学薬品を完全にケミカルリサイクルできる。オーガニック繊維は当然安全で健康だと思うかもしれないが、一般的にファッションに用いられる木由来の繊維素材は、製造の過程で大量の化学薬品を消費し、環境に大きな負荷をかける。彼らのリヨセルは、この化学薬品という人工資源も含めて「ループを閉じた、すなわち廃棄せず、自然にも流出させず、何度も使えるよう循環させる」繊維だ。

染色の環境負荷を減らす

大量に服が廃棄され、ごみの山となる様子は多くのメディアに取り上げられる。しかし、多くの人が知らないのは、染色過程で多くの化学薬品が使われ、重金属や環境ホルモンなどを含む汚染水が環境中に流れ込む。つまり、染色に用いる薬品やその工程において、環境負荷をかけないものに切り替えることも重要なのだ。

例)ARCHROMA

Image via ARCHROMA

スイスのARCHROMAは、植物性の有機廃棄資源をアップサイクルし、サステナブルな染料を作る。土から生まれ、製品になるまでのすべての工程を追跡できるようにしている。

モノマテリアル(単一素材)

建築やプラスチック包装容器などと同様に、複数の異なる資源を混ぜて使用されて加工された製品は、役目を終えた後それぞれの素材に戻すことができず廃棄されてしまう。これを、単一素材で作ることで回収と再度資源に戻す工程を簡単にし、結果廃棄を防ぐことができる。

例)NAPAPIJRI

Image via NAPAPIJRI

イタリアのNAPAPIJRIは捨てられた魚網などの廃プラスチックから、単一素材の100%リサイクル可能なジャケットを作る。NAPAPIJRIのジャケットは、サーキュラーファッションのリサイクルを専門に行うAQUAFILがリサイクルしてくれる。

③利用者が担う役割とは?

まず大前提として、ファッションを取り巻く仕組みは大量廃棄と環境破壊を生みだすリニア型だが、これを消費者に責任転嫁することは許されない。消費者は、環境に悪い選択肢しか用意されていない中から選ばざるを得ない状況に置かれ、そこで選んだものが環境に悪いと責められても困惑するばかりで何も解決しない。しかし、ファッション産業をサーキュラーモデルに作り変えていく中で、この仕組みをうまく機能させるためには個人が役割を担う。

知ることで実践できる製品ケア

利用者が服を長く使えるように情報やツールを提供することは重要だ。修理・カスタム・洗濯と保存などの方法を教育できれば、服は最大の価値のまま維持され、失われない。服が長く愛され、使われるようになると修繕サービスへの需要が拡大する。また、服を自分の好みにアレンジする方法を教えたり、家で簡単にカスタムできるツールが必要になったりするなど新しいビジネスチャンスも拓ける。ブランドは、地域のコミュニティに根ざしたお店などとパートナーシップを組むことで、これらの修繕やリスタイルサービスを効果的に提供することができる。特にアウトドアファッションのBergansやJack Wolfskin、パタゴニアなどは素晴らしい修繕サービスを提供している。

例)パタゴニア修繕サービス

Image Via Patagonia 

パタゴニアは、北米で毎年5万点の製品を修繕しているという。

一人ひとりにできること

Image via Your Plan, Your Planet

私たち消費者がファッションを取り巻く問題を理解し、正しい考え方をもち、日々の選択をすることは重要だ。GoogleのYour Plan, Your Planetは、消費者は自分たちがどのような選択をすれば地球環境をより良いものにしていけるか紹介している。また、環境負荷を減らし、社会への負の影響を減らすためのブランドの取り組みを評価するアプリGood On Youもより良い選択をするのに役立ててみよう。

Make Fashion Circular

ブランド・政府・NGOなどを巻き込み、ファッション業界のリーダーたちが集まり、ファッションのサーキュラーエコノミーを実現するための協働とイノベーションを加速させるためにMake Fashion Circularは生まれた。2017年5月の発足以来、ファッション産業の仕組みをサーキュラー化することで、安全な資源をずっと使い続けられるようになり、環境の負荷を圧倒的に減らす一方、業界は大きな経済価値を生みだすことができる。現在までに、H&Mやステラ マッカートニー、GAPなどが参画している。

Jeans Redesign

Image via Jeans Redesign

バーバリーやH&M、MUD Jeansなどが参加するJeans Redesignは、最も広く汚染を引き起こすデニムを再考するためのプロジェクトだ。ジーンズは誰でも一着持っている。しかし、その環境負荷については周知されていない。実際、1着当たり2400リットルの水を汚染してしまうのだ。このデニムの製造工程に、環境負荷を減らすガイドラインを作成し、この方法を業界の基準にすることを目指す。実際に50にも上るブランド・製造業者・生地製造業者などが一丸となって、2020年秋までにこのガイドラインに沿って作られた製品を市場に送り出す予定だという。

ファッションのサーキュラー化をめぐる2000人での議論

今回も、参加者とパネリストの間で多くの議論が交わされた。その一部を紹介したい。

質問:回収した服を「100%リサイクル」するブランドが、実際にはダウンサイクルしていることが多い。これは虚偽広告ではないのか。

リサイクルという言葉は広義にアップサイクルとダウンサイクルを含むため、虚偽広告とまではいえない。また、アップサイクル・ダウンサイクルという言葉は比較的新しく、広く一般に浸透しているとは考えがたい。一方、質問の通り100%服から服へとリサイクルしているブランドは、ダウンサイクルしているブランドときちんと区別して認識され、評価されるべきだ。これには、消費者全体にアップサイクル・ダウンサイクルという言葉の認知を広めることが重要だ。

近年消費者の関心がサステナブルでサーキュラーなファッションに集まる一方、業界には「環境に良い」情報で溢れかえっており、矛盾し、相反する情報も多い。実際多くの利用者が何を選べばいいかわからず困惑している。この混乱の中で本当に良い商品を選ぶには、大学で環境学を専攻しなければならないほどだ。

そんな中で正しい情報をわかりやすく整理してくれる存在は重要性を増している。ブランドのサステナビリティについての取り組みを独自に設けた基準で評価するアプリGood On Youは素晴らしい。ファッション業界としてもどのような基準を設けるべきか向き合い、第三者視点で情報を提供するキュレーターが担う役割についても考えていく必要がある。

Image via Good On You

質問:「フランス人は服を10着しかもたない」という本が流行ったことがあるが、実際に消費を抑え、この世界観にみんなで移行していくのが理想的なのではないだろうか?

リニア型経済において、消費が増えれば当然廃棄が増え、これが問題となってきた。しかし、ファッション産業自体が循環する仕組みに移行できれば、「利用」機会が多いこと自体はさほど問題ではない。実際、私たちが毎日身にまとう洋服は、私たちの気持ちにも大きな影響を与える。よって、毎日同じものを着なければいけないと考える必要はないのではないだろうか。

確かに近年、凄まじいスピードで新たな「トレンド」が生み出され、消費されてきた。しかし本来、ファッションとは自分に似合うものや着こなしを楽しむものだったはずではないだろうか?誰かが「これがおしゃれだ」というから右ならえで選ぶのではなく、自分が愛と情熱を感じるから選び、自分に似合うから、気分が高揚するから着る、というファッションを改めて大切にすべきなのだと思う。愛と情熱、自己表現としてのファッションを楽しむことは大いに歓迎すべきではないだろうか。実際に、自己表現としてのファッションだからこそ、人々は今、環境や人、暮らしに負荷をかけないものを選ぼうとしている。

エレン・マッカーサー財団のオンライン学習プログラム「From Linear to Circular: Open to All」第7回の今回はファッションというテーマで行われた。次回は食がテーマだ。

これまでのレポート

第1回:「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #1
第2回:「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #2
第3回:「循環するビジネスモデル」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #3
第4回:「次の段階のサーキュラーエコノミー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #4
第5回:「プラスチックのサーキュラーエコノミー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #5
第6回:「サーキュラーエコノミーと都市 ー建築・交通・フードシステムを変えるー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #6

【参照サイト】MUD Jeans
【参照サイト】Circos
【参照サイト】Rent the Runway
【参照サイト】threadUP
【参照サイト】TheRealReal
【参照サイト】Tencel
【参照サイト】ARCHROMA
【参照サイト】NAPAPIJRI
【参照サイト】AQUAFIL
【参照サイト】パタゴニア Worn Wear
【参照サイト】Google Your Plan, Your Planet
【参照サイト】Good On You
【参照サイト】Make Fashion Circular
【参照サイト】Jeans Redesign
【参照レポート】threadUP 2019 RESALE REPORT
【関連記事】エレン・マッカーサー財団、サーキュラーエコノミーの無料オンライン学習プログラムを提供開始