サーキュラーエコノミー事業への投資を専門に行うアメリカのClosed Loop Partnersは3月6日、自社の「2019年インパクトレポート」を公表し、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた事業への投資環境は整いつつあり、これまでにないほど大きなビジネスチャンスとなると発表した。この動きをさらに推し進めるためにはより多くの投資家を巻き込むことが重要だと提言している。

Closed Loop Partnersは2014年の設立以来、収益性が高く持続可能な未来を実現するための経済モデルの確立を目標に掲げ、活動してきた。CEOのRon Gonen氏は同レポートの中で次のように語る。

「消費者は信頼できる『サーキュラー』な商品を選び始めました。消費者の選ぶものの変化と法整備が合わさると、大きな投資機会が見込まれます。2019年には世界のメジャーなブランドの多くが2025年までに自社の商品をリサイクル、コンポストできるようにして包装素材として再利用できるようにするコミットメントを約束しました。これらの企業やブランドにとって、2020年はコミットした目標を現実のものとするための重要な年となるでしょう。」

同レポートによると、Closed Loop Partnersは2019年の1年間に行った45件の投資を通して130万トンの資源を資源を循環させることに成功し、300万トンの温室効果ガス排出を回避し、約285億円を再生型サプライチェーン実現のために共同投資した。

Closed Loopインフラストラクチャーファンド投資委員でコロンビアビジネススクール教授のブルース・アッシャーは次のように語る。「サーキュラーエコノミーはコストを抑えて効率を上げ、廃棄をなくす、大きなビジネスチャンスです。しかし、サステナブルな仕組みへの移行を加速させるためにはもっと多くの投資家が必要です」

同社の運用するファンドは次の通りだ。

・Closed Loopリーダーシップファンド:Closed Loop Partnersのネットワークを使い、成長が見込まれる民間企業に投資を行う。投資対象となるセクターはリサイクルのためのインフラ、包装、運送、電気機器、食品と農業。

・Closed Loopインフラストラクチャーファンド:価値のある再利用資源をサプライチェーンに戻すために行うリサイクルインフラストラクチャーへの投資。Closed Loop飲料業界ファンド:米飲料業協会とともに飲料容器の回収とリサイクルを進める飲料業界ファンド。目標は飲料業界が完全な循環サプライチェーンを確立すること。

・Closed Loopベンチャーファンド:サーキュラーエコノミーを実現するための課題の突破口となる事業開発を行うスタートアップに対する早期投資ファンド。投資先はマテリアルサイエンス、ロボット学、アグリテック、サステナブルな個人向け消費財とテクノロジーの分野など。

・センター・フォー・ザ・サーキュラーエコノミー:サーキュラーエコノミーへの移行を押し進めるための調査、分析、コラボレーションを行うイノベーションセンターで、物資が共有・再利用され循環し続ける経済を目指す。

サーキュラーエコノミーへの移行を加速させるためには投資家からの資金供給が欠かせない。世界的に循環型製品やリサイクル素材に対する需要が高まるなか、2020年はサーキュラーエコノミー型事業モデルへの転換を進める企業にとっては大きく追い風が吹く年となりそうだ。

【参照記事】Building the Circular Economy – Closed Loop Partners2019 インパクトレポート全文