国際的な梱包資材大手の英DSスミスは4月29日、エレン・マッカーサー財団と共同で策定した、包装デザインのサーキュラーエコノミー化に向けた原則を公表した。また、同社は合わせて独自に実施した調査も公表し、英国の消費者の約30%がリサイクル可能な包装材を捨ててしまっているとする結果を明らかにした。
消費者はリサイクルの表示に不満
同社の調査によると、2000人の回答者の半数以上が包装材のリサイクル可能性についての情報が不明瞭だと批判。一方で、83%の人々はどの包装材がリサイクル可能なのか分からないと回答している。
同社は、今回制定した包装デザインのサーキュラーエコノミー原則によって、こうした消費者の困惑を解消し、本来リサイクル可能な包装材が最終処分場に埋め立てられてしまうのを防ぐことに期待している。
主なサーキュラーデザイン原則は次の通りだ。
- ブランドと製品を保護する。設計者は常に包装が製品を保護するように設計しければならない。低品質な包装は、経済や環境へのダメージを引き起こしてしまう。
- 包装材に必要以上の量の材料を使わない。材料の利用を最適化することは資源と廃棄の量を抑制することにつながる。
- サプライチェーンの効率化につながるデザインを最大化する。設計者は、運搬車両に積み上げるためのボックス内の製品レイアウトを変えることで効率化する。
- リサイクルを通じて、包装材の材料を可能な限り長期間使用する。包装を新しい製品に生まれ変わらせることで、14日で「ループを閉じる」ことができる。
- サーキュラーエコノミー化に向けて、現状に満足することなく挑戦し続ける。設計者の能力を高め、消費者をサポートしていく。
同社の包装材責任者のStefano Rossi氏は「本原則を導入することで、リサイクルのしやすさに基づき、廃棄や汚染を防ぐデザインを行い、サーキュラーエコノミーに適した包装材を創り出すことが可能になり、消費者にもっとリサイクルしてもらいやすくできるだろう」とコメントした。
【参考記事】DS Smith launches new circular principles for packaging design
木村 麻紀
環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHAS(ロハス)について、ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げて以来、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続けている。サーキュラーエコノミー(CE)における関心領域は、CE×社会包摂的まちづくり、CE×教育など。SDGs.tv公認ラーニングコーチ。
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