環境省は、循環経済への移行に向けリユース推進の機運を高めるため、「リユース促進に向けた懇談会(第4回)」を5月27日に開催した。この懇談会は、リユース事業者、地方自治体、有識者、消費者団体などが参加し、リユース促進に関する意見交換を行う場となる。
懇談会は、5月27日の17時から18時まで、環境省の省議室(東京都千代田区)で実施される。当日の議題は、各参加者からのリユースに関する取組事例などの発表と、それに続く質疑応答および意見交換だ。これまでの懇談会では、リユース市場の現状と将来性、自治体や企業の先進的な取り組み、消費者の意識改革の必要性など、多岐にわたる論点が提示された。
第1回(1月15日開催)では、リユース市場においてBtoC(事業者対消費者間取引)、CtoC(消費者間取引)双方の成長が見込まれる一方で、CtoCにおけるブランド品などの高額品取引の安心安全確保が課題として挙げられた。また、神奈川県座間市のリユース推進の取り組みや、リユース経済新聞社による業界動向、早稲田大学からはサーキュラーエコノミーにおける品質の良いものを長く使う本質や、リユース業界のGHG排出削減貢献度算定に関する課題などが共有された。
続く第2回(3月14日開催)では、一般社団法人日本リユース機構から自治体連携の進捗や、リユース利用者の年代による意識差が指摘された。特に40代までのリユース利用は進む一方、高齢者層へのアプローチの必要性が示された。株式会社メルカリからはオンラインプラットフォームにおける利用者の拡大、特に50代、60代の伸びが報告され、消費者間の直接取引によるメリットが強調された。また、日本司法書士会連合会からは残置物問題への対応や、CO2削減効果の可視化に関する要望が出された。
そして第3回(4月21日開催)では、愛知県蒲郡市が実証事業を通じたメルカリShopsでの販売件数増加や、シルバー人材センターとの連携による効率化事例を紹介した。一般社団法人シェアリングエコノミー協会は、自治体と協会員のマッチングやコンサルティングの役割を強調し、公民連携における中間組織の有効性を示した。株式会社ジモティーやブックオフコーポレーション株式会社からは、リユース事業の運営における回転スピードの重視や、海外リユースの現状と課題、メーカーとリユース事業者の連携、デジタル製品タグの活用といった今後の展望が語られた。さらに、学校教育を通じたリユース意識の醸成の重要性も提起された。
これらの過去の議論で得られた知見や意見は、2024年度に設置された「使用済製品等のリユースの促進に係る検討会」に適宜インプットされている。環境省は、第4回懇談会での議論も踏まえ、今後のリユース促進に関する具体的な施策の検討を一層進めていく方針だ。懇談会の配付資料は開催当日までに、議事要旨は後日、同省のウェブサイトで公開される予定。
【プレスリリース】「リユース促進に向けた懇談会(第4回)」の開催について」
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