オランダの企業向けユニフォームを提供するETPとサステナブルファッションのKuyichiは4月21日、サーキュラー型ビジネスモデルの確立を目指し、世界規模でレンタル・リコマースの専門家らをつなぐ「Switching Gear」プロジェクトへの参画を表明した。このプロジェクトは、オランダ・アムステルダムに本拠を置くサーキュラーエコノミー推進団体Circle Economyが主導するもので、すでにスウェーデンの紳士服Asketや小売のLindexが参画。2社は、同プロジェクトを通して、2021年までにサーキュラービジネスモデルを試験運用し、本格的な移行を目指す。
また、「Fashion for Good」の協力を得て「Switching Gear Enabling Network」というネットワークも同時に発足。40を超えるレンタル・リコマースの専門家たちがその知見や人脈で参画ブランドをサポートし、新しいビジネスモデルの試験導入などを後押しする。このネットワークには、アメリカ中古販売大手ThredUP、返却・再利用可能なパッケージサービスを提供するRePack、リサイクルプログラムをブランドに組み込むEileen Fisher、消費者間のファッションアイテム貸し借りを可能にするStyle Lend、ファッションレンタルサービスを始める人をサポートするLizee、アパレルやテキスタイルブランドのサーキュラー化をサポートするThe Renewal Workshopが名を連ねる。
「この危機的な時こそ、グローバルコミュニティとしてのレジリエンスを高める新しいビジネスモデルを確立することが重要です。私たちはブランドにとって必要な専門家をつなぐことで、アパレル業界におけるサーキュラービジネスモデルへの移行を推進し、2021年までにパイロット版をローンチすることを目指します」そう語るのはCircle Economyでサークル・テキスタイル・プログラムを統括するGwen Cunningham氏だ。
オランダで企業向けのユニフォームを提供するETPは、すでに高い目標を掲げており、2025年までに100%循環型のコレクションを開始すること、循環型の包装素材のみを使うことなどを目指している。2020年内にすべてのコットン素材をサステナブルコットンBCIなどに、また、ポリエステル素材を使用済みペットボトルから作られるRePETに置き換えることなどを目標としている。すでに再利用のプログラムは走らせており、コスト削減や環境保全に対して確かな手応えを感じたため、今回のSwitching Gearへの参画にいたった。
サステナブルなデニムブランドKuyichiはサーキュラーファッション促進に力を入れる。2020年には、サーキュラーデザイン戦略策定、店舗での中古衣類の回収率を10%以上に高めること、リサイクルされた生地を使ったアイテムの割合を増やすことなどを予定している。
この20年の間に、人々が着る服の量は著しく増えた。ファストファッションへ移行するとともに、消費者は15年前と比べ平均で60%余計に服を買い、着る期間は半分に減った。70%の服がクローゼットにしまい込まれたままになり、33%の女性がファッションアイテムを5回しか着用しないまま捨ててしまっているとされる。
このSwitching Gearプロジェクトは、ラウデス財団(Laudes Foundation)のサポートを受けてBridging the Gapイニシアチブの一環として行われる。ファッション業界全体のコラボレーションとして、業界のサーキュラー型サプライチェーンのモデル確立のための技術やデザインを促進する。Bridging the Gapには、世界資源研究所(World Resources Institute)、廃棄物・資源行動プログラム(WRAP)、ロンドン廃棄物・リサイクル委員会(London Waste and Recycling Board)、QSA PartnersやForum for the Futureが参画している。
【参照記事】ETP AND KUYICHI TO PILOT CIRCULAR BUSINESS MODELS BY 2021 THROUGH SWITCHING GEAR PROJECT
西崎 こずえ
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