家具関連企業35社はこのほど、任意団体「家具インテリアリサイクル&リニュー協議会」を設立した。

会員企業は、不要家具の引き取り・リユース・再資源化などの資源循環や、森林の生態系保全、CO2排出削減など、環境負荷の少ないサプライチェーンの構築とサーキュラーエコノミー移行を目指し、共同で取り組む。

家具インテリア業界環境経営の三本柱(出典:家具インテリアリサイクル&リニュー協議会)

同協議会は、4つのワーキンググループを順次立ち上げ、サプライチェーンの動脈産業(生産・物流・販売)から静脈産業(維持・廃棄・再生など)までの事業分野を連携して管理していく意向だ。ワーキンググループは、以下である。

  • リソーシング:現在の引取処分問題の把握から、不要家具の引取・分別、再資源化促進までの資源循環のループをつなぐ事業モデルの研究開発
  • 長期愛用・リニュー:製品の長寿命化による環境負荷低減に向け、劣化予測・製品評価・修理・維持技術を含めた仕組みの研究開発
  • ZEROカーボン:家具インテリア業界のサプライチェーンにおけるライフサイクル全体のCO2排出量と排出源の実態把握、ライフサイクル全体のCO2削減技術の研究開発、業界全体の取り組みの推進
  • 再生設計:原材料の産地・認証・流通の実態把握、資源としての持続可能性、環境保全性の評価、再生材の技術開発、環境性能評価指標の研究開発、環境配慮型家具の開発推進

家具資源循環図(出典:家具インテリアリサイクル&リニュー協議会)

リソーシングワーキンググループは、不要家具の引取とリユース促進の取り組みとして、適正処理困難廃棄物に指定されている「廃スプリングマットレス」のリサイクルネットワーク実証実験を6月1日に関東地区で開始した。実証では、廃スプリングマットレスのリサイクルのための効率的な回収と、鉄資源などの資源循環を促進し、リソーシング系の共通基盤構築を目指す。実証は、8月31日まで実施される。

同協議会の前進は、家具インテリア業界有志が設立した「家具経済同友会」だ。同友会における情報・意見交換のなかで、不要家具の廃棄・リサイクル・費用負担などの課題が挙げられた。こうした課題を業界全体の課題として同業事業者とステークホルダーが連携して取り組むべく、同協会の設立にいたった。サーキュラーエコノミーを軸に、持続可能な家具インテリア業界の構築を目指していきたい考えだ。

家具のライフサイクル全体において多様な視点で取り組みの共同展開を目指す同協会が、家具業界の資源循環・森林の生態系保全・CO2排出削減などに貢献していくことが期待される。

なお、森林の生態系保全に関して、欧州ではEU理事会が家具を含む製品を対象に、森林減少および森林劣化のリスクの最小化を目的とする規制を2023年5月に採択。森林減少や森林劣化のない土地で生産された製品のみがEU市場での販売やEUからの輸出を許可されるということで、森林保全に向けて大きく舵が切られている。

家具インテリアリサイクル&リニュー協議会会員企業

家具インテリアリサイクル&リニュー協議会の会員企業は、次の35社(製造事業16社、販売事業10社、物流事業ほか9社)。AKASE株式会社、株式会社アクタス、株式会社アスプルンド、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、遠州トラック株式会社、株式会社岡本總本店、株式会社家具の大正堂、株式会社かねたや家具店、カリモク家具株式会社、株式会社カンディハウス、株式会社三協運輸サービス、株式会社シラカワ、株式会社スリープセレクト、株式会社関家具、株式会社大運、TAKADA株式会社、タカダ・トランスポートサービス株式会社、TAKADA環境株式会社、TriValue株式会社、株式会社東京インテリア家具、東京ベッド株式会社、ドリームベッド株式会社、ナガノインテリア工業株式会社、日進木工株式会社、日本フクラ株式会社、株式会社馬場家具、株式会社パパネッツ、飛驒産業株式会社、冨士ファニチア株式会社、フランスベッド株式会社、マルイチセーリング株式会社、株式会社マルニ木工、株式会社ミサワ、三井デザインテック株式会社、株式会社リビングハウス(五十音順、2023年6月時点)。

【プレスリリース】家具インテリア業界のサーキュラーエコノミー実現に向けて取り組み開始 家具関連企業35社による「家具インテリア リサイクル&リニュー協議会」設立
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