サーキュラーエコノミーの実現に向けた新事業創出を目指す企業などによる共創プラットフォーム「ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(J-CEP)」はこのほど、蘭サーキュライズが提供するブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムを利用し、デジタル製品パスポート(DPP)の日本市場への導入を見据えた企業対応のシミュレーションを開始すると発表した。
シュミレーションには、J-CEPに加盟する9社が参加する。9社は、サーキュライズと業務提携する丸紅株式会社やJ-CEPの幹事企業の一つであるアミタホールディングズ株式会社のほか、資材メーカーや日用品メーカー、ICT企業など。
日本でのDPPの社会実装に備える
サーキュラーエコノミーの実現に向けて製品ライフサイクルのトレーサビリティの確保が求められるなか、欧州では製品のライフサイクル全体にわたるエネルギー利用のほか、再生材含有率や耐久性などのサステナビリティに関する情報をサプライチェーン全体に共有するための仕組みであるDPPの法制化が進められており、市場での導入事例も生まれている。一方、日本国内のDPPへの対応は進展しておらず、サプライチェーン全体での情報収集や管理、開示のシステム構築を早急に進める必要があるとJ-CEPはみている。
こうした状況を受けて、J-CEPでは加盟企業がDPPへの対応を進めるための情報共有などを目的とした「デジタル製品パスポート研究会」を2023年3月に立ち上げた。今回は、同研究会のメンバーである丸紅の提案を受けて、同社が業務提携し欧州でも先行事例をもつサーキュライズが提供するブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムを利用する。特に、システム運用における課題の把握のほか、原材料から最終製品までの情報追跡、サーキュライズの独自技術である「Smart Questioning」を用いた情報の選択的開示・共有の体験、他システムやプラットフォームおよびプライベート・コンソーシアムのブロックチェーンとの連携などを模索していくことになる。
具体的には、サーキュライズのシステムを用いて、アミタが提供するMEGURU STATION®を含む互助共助コミュニティ型資源回収ステーションで回収されたペットボトルキャップがプラスチック製品に再生されるまでの製品ライフサイクルを追跡し、DPPを作成するという。2023年9月末をめどにリアルデータによるシミュレーション結果としてDPPデータ表示方法を完成させ、日本でのDPPの普及と導入に当たって現場の運用を含めた課題を確認し、必要な業界ルールやICT・IoTソリューション、法整備などを議論、提言するとしている。
サーキュライズのシステムイメージ
サーキュライズ共同創設者のJordi de Vos 氏は「当社は日本での事業拡大に積極的に取り組んでいます。目標は、日本企業によるリサイクル材利用の促進と循環型経済への移行を支援することです。これを実現するには、製品のライフサイクルに応じた工程ごとのトレーサビリティ確保が必要不可欠です。今回のJ-CEPにおける取り組みは、この使命を支援するうえで重要なマイルストーンであり、当社はサプライチェーンのトレーサビリティプロジェクトに協力することを楽しみにしています」とコメント。
J-CEP代表幹事でアミタホールディングス取締役副会長兼CEPO(最高パートナーシップ責任者)の佐藤博之氏は「DPPはサーキュラーエコノミーの実現に非常に重要な役割を果たすものの、一社で実行するには限界があります。そこで、原料調達から生産・販売から回収・循環など、幅広い業界と業種の企業が加盟するJ-CEPとして、今回のシミュレーションを実行することに、非常に大きな可能性を感じ期待しています。今回は、J-CEPがこれまで循環に挑戦してきた、量・質ともに不安定な『ポストコンシューマー材』を対象に実施します。ポストコンシューマー材が再び製品になるまでのDPP作成が、地域住民の協力によって高品質な資源が集まることの証明へとつながる大きな一歩になると信じています」とコメントしている。
【プレスリリース】J-CEP、「デジタル製品パスポート(DPP)」のシミュレーションを開始-日本市場へのDPP導入を見据えた企業対応を検証-
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*記事中の画像の出典:ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ