花王株式会社とライオン株式会社はこのほど、使用済みフィルム容器(つめかえパック)を水平リサイクルして再生材を一部使用したつめかえパックを製品化した。

2020年9月、両社はプラスチック容器包装の資源循環に向けた連携を発表し、洗剤やシャンプーなどのつめかえパックのリサイクルに取り組んできた。

取り組みの結果として、2023年5月29日から順次、花王は衣料用濃縮液体洗剤『アタック ZERO つめかえ用(1620グラム)』を、ライオンは洗濯用液体高濃度洗剤『トップ スーパーNANOX ニオイ専用 つめかえ用超特大』を一部店舗にて数量限定で発売する。

2021年、つめかえ・つけかえ用製品が全製品の出荷量に占める割合は約80%であった。つめかえパックは一般的に、バリア性・保存性・強度を保つために複数素材で構成されており、リサイクルが難しい。花王は一括リサイクルの開発・検証を進めるべく、つめかえパックのリサイクル実証施設を2021年6月に和歌山研究所に導入。つめかえパックの一括リサイクル技術を確立し、再生材を使用したつめかえパックの製品化に至った。

両社は、つめかえパック全体の約10%に再生材を使用した。1%は、これまで花王が自治体と共同回収したものと、花王・ライオンが回収実証実験を共同展開しているイトーヨーカドー曳舟店(東京都墨田区)とウエルシア薬局で回収したものを活用。残り約9%は、製品として使用されなかったつめかえパックを活用した。

リサイクルつめかえパックができるまで

今後、両社は「つめかえパックの分別回収の仕組みの改良」「リサイクル技術の向上と確立」「容器の設計ガイドラインの策定」を実施する予定だ。

つめかえパックの分別回収の仕組みの改良では、イトーヨーカドー曳舟店とウエルシア薬局での回収を継続しつつ、リサイクルに対する消費者の理解・協力を得るべく啓発活動を推進する。加えて、消費者の協力を得やすい分別回収工程や、行政・流通と連携した効率的な回収方法を検討する。リサイクル技術の向上と確立では、花王はつめかえパックの一括リサイクル技術の向上を、ライオンはリサイクルしやすいつめかえパックの技術開発を進める。容器の設計ガイドラインの策定では、企業間・業界の垣根を越えて広く自由に利用できる設計ガイドラインを作成し、リサイクルしやすい容器包装の設計を目指す。

【プレスリリース】花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル 再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化
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*記事中の画像の出典:花王株式会社