神戸市と小売・日用品メーカー・リサイクラー(再資源化事業者)は共同で、市内75店舗に回収ボックスを設置、洗剤やシャンプーなど使用済み日用品の詰め替えパックを分別回収して再び詰め替えパックに戻す「水平リサイクル」を目指す「神戸プラスチックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~」を2021年10月から実施している。

今回、同プロジェクト開始から2022年4月までの7カ月間で、詰め替えパック3万3667枚、576.28kgを回収したと報告した。同実績について、水平リサイクル実現には量は少ないが、着実に回収量が増加しており、異物は毎月約5%と少ないとしている。

同プロジェクトの概要は、以下である。全国最大規模となる神戸市内75店舗ですべてのメーカーの詰め替えパックを店頭回収。回収に協力した市民には、神戸市が運営する「KOBEエコアクション応援アプリ」を通じて1枚につき50ポイント(5円相当)が付与される。回収後は、大栄環境グループの六甲リサイクルセンターで集約して選別・リサイクルし、花王和歌山工場のパイロットプラントで再製品化の実証を実施して、参加企業間でノウハウを共有していく。初年度の回収目標量は5トン。将来的には、再製品化した商品の市内店舗での販売を目指している。

これまで、同プロジェクトは「フィルムリサイクル現場見学・技術検討会」「神戸市と小売・日用品メーカー・リサイクラーが回収した詰め替えパックについて評価・議論する品質確認会」などの活動を実施してきた。2022年4月、これまでの16社に加え、クラシエホールディングス株式会社・サンスターグループ・シャボン玉石けん株式会社の3社がプロジェクトメンバーに加入した。

日用品全体の8割を占める詰め替えパックはプラスチック使用量削減に大きく貢献してきた一方、さまざまな特性を持つ多層構造のフィルムから成るため、水平リサイクルは難しいとされてきた。同プロジェクトで回収した詰め替えパックは、水平リサイクルの技術確立に向けた試験に活用する意向だ。

6月1日から環境月間が始まることを受け、使用済み日用品の詰め替えパックを捨てずに洗って乾かし、回収ボックスへ持参することを同プロジェクトは呼びかけている。神戸市と19社は、協働を通じて詰め替えパックの水平リサイクルを目指して活動を進めていきたい考えだ。プロジェクト開始から7カ月間で580kgの詰め替えプラ容器が回収されたが、初年度の回収目標量5トンを達成するには、さらに多くの市民の積極的参加や周知活動が必須となるだろう。自治体・多数の企業・市民が共同で取り組む同プロジェクトの今後が注目される。

同プロジェクトの参加企業19社は、以下のとおり。
ウエルシア薬局株式会社、生活協同組合コープこうべ、株式会社光洋、株式会社ダイエー、アース製薬株式会社、花王株式会社、牛乳石鹸共進社株式会社、株式会社コーセー、小林製薬株式会社、サラヤ株式会社、P&Gジャパン合同会社、株式会社ミルボン、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社、ライオン株式会社、アミタ株式会社、大栄環境株式会社、クラシエホールディングス株式会社、サンスターグループ、シャボン玉石けん株式会社

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*記事中の画像の出典:神戸プラスチックネクスト つめかえパックリサイクルプロジェクトチーム