株式会社メルカリは6月27日、サーキュラーエコノミーを推進する調査・研究機能を持つメディア「サーキュラーエコノミー総研 by mercari」(以下、CE総研)を公開した。同メディアは、これまで同社が運営してきた「メルカリ総合研究所」と「リコマース総合研究所」の活動を統合・発展させたものだ。事業者、行政、研究者、生活者といった多様なステークホルダーとの連携を深め、循環型経済への移行を加速させることを目指す。

今回のCE総研設立の背景には、日本国内におけるサーキュラーエコノミーへの関心の高まりがある。環境省の「循環型社会形成推進基本計画」によると、政府は関連ビジネスの市場規模を2030年に80兆円以上とする目標を掲げている。また、メルカリとニッセイ基礎研究所が2023年に実施した共同調査では、日本の家庭に眠る不要品、いわゆる「かくれ資産」が推計約66兆円にのぼることが示されており、二次流通市場の潜在的な価値は大きい。メルカリは、こうした社会情勢を踏まえ、サーキュラーエコノミーを社会全体で本格的に推進するには、より多様な視点からの調査研究や、分野を超えた「協創」が不可欠だと判断した。

CE総研は、「サーキュラーエコノミーの促進を通じて、持続可能な社会を実現する」をミッションに掲げる。ウェブサイトでの記事コンテンツや、専門家の生の声を発信するPodcast番組などを通じて、「社会(Society)」「経済(Economy)」「環境(Environment)」の3つの視点から情報発信を行う。初期コンテンツとして、慶應義塾大学の山本晶教授による論考や、ヤクルト山陽の地域リユース事業に関するインタビュー記事などが公開されている。

同総研は、客観的かつ多角的な調査・研究を推進するため、外部の専門家や機関との連携を重視する。初期の共同調査・研究パートナーとして、京都大学大学院医学研究科の近藤尚己教授と、慶應義塾大学商学部の山本晶教授が参画する。今後は、サーキュラーエコノミーやサステナビリティを専門とする学術機関、企業、自治体など、共同調査や研究に関心のあるパートナーを広く募集していく方針だ。

共同調査・研究パートナーである慶應義塾大学の山本晶教授は、次のようにコメントした。
「メルカリのサービスは、消費者に処分の選択肢を増やして生活を豊かにしただけでなく、個人が手軽に参加できるサーキュラーエコノミーの好例として、その推進に貢献している。しかし、アパレル業界では、環境省の調査で約7割の衣類が焼却・埋め立て処分されており、リユースやリサイクルは3割程度に留まるという課題がある。この数値を高めることが、サーキュラーエコノミー移行への鍵となる。研究者が単独で取り組むよりも、メーカーや自治体などと連携して実証実験を行うことで、より良い解決策にたどり着けると信じている。私自身の専門であるマーケティングや消費者行動に加え、行動経済学やコンピューターサイエンス、ウェルビーイングなど、異分野の専門家が連携し、共に研究を進めることに期待している」

メルカリはCE総研を通じて、サーキュラーエコノミーに関する情報を提供し、社会全体の意識改革と行動変容を促すことで、持続可能な社会の実現と新たな経済価値の創出に貢献していく構えだ。

【プレスリリース】メルカリ、サーキュラーエコノミーを推進する調査・研究メディア「サーキュラーエコノミー総研 by mercari」を公開
【公式サイト】サーキュラーエコノミー総研 by mercari
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